兄はずっとサッカーをやっていた

 

 

 

しかし

20代の頃に

遠位型ミオパチーという

心臓から遠い部分の筋肉から

どんどん萎縮する進行性の難病を発症し

(日本に400人しかいないと言われる)

 

 

 

いつしかサッカーボールが追えなくなり

グランドから去ることとなった。

 

 

 

あの日から

10年

 

 

 

兄は、

一つの希望を見つけた。

 

 

 

 

電動車椅子サッカーだ。

 

 

 

 

 

 

 

ほんの少しの指の力があれば

キュルキュルと電動車椅子が動き

大きなボールを追っていくことができるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

身体に力が入らない兄の微力な動きにも合わせてくれる

なんともすごい乗り物。

 

 

 

 

最初、この電動車椅子見た時は

イカツすぎる外観から

ガンダムを連れてきたのかと思った。

 

 

 

そしてイカツすぎるガンダムを操作する兄は

敏腕そのもののアムロレイ

 

 

 

第六感を研ぎ澄まし

大きなボールを奪い

華麗に相手の陣地へ押し込み

ゴールを決める

 

 

 

 

その瞬間

「は、羽根が生えたみたいだ。」という言葉と共にみせる

なんとも言えないドヤ顔

 

 

 

 

 

 

そんなドヤ顔を振りまいていた

アムロレイは

 

 

 

 

先ほどにも述べた

「発病」によって

長きに渡り

仕事も趣味も婚約者も失い

家で沈み込んでいたのだ。

 

 

 

 

けれど、

 

その世知がない現実を受け入れた先に

彼自身の本来持っている

「生きていこうとする力」が発動し

 

 

 

沈んでいた日常を脱却させた。

 

 

 

 

 

 

兄は瞬く間にチャンスを掴み

ガンダムと共に

日本全国を駆け巡り

さらには

日本代表にまで登り詰めたのだ。

 

 

 

 

・・・だけでは、飽き足らず

 

 

 

 

なんと!!

ユーロへの逆襲をも謀ったのだ。(笑)

 

 

 

兄は

英語もろくすっぽ話せないくせに

物怖じせず

持ち前のフレンドリーさで

世界各国に友達をどんどん増やした。

 

 

 

 

 

そして、挙げ句の果てに

電動車椅子サッカーのワールドカップの

競技規定にまで

首を突っ込むようになるのだった。

 


 

 

 

 

 

人は、

どんなに苦しいことがあっても

絶望の果てにいても

 

 

人生に愛を持ち、

自分らしく生きようと思うのなら

 

 

 

 

神さまは

ちゃんと、最適なタイミングで奇跡を注いでくれる。

 

 

 

 

 

 

 

しかも、その奇跡は

最初に思っていた以上に

 

たくさんの人を巻き込みながら

まわりの人たちにも奇跡を与え

共に奇跡の循環を大きくしていく。

 

 

 

 

 

これが宇宙の真理だと思う。

 

 

 

すなわち

 

 

どんな自分も愛し受け入れ

自分らしく生きることに許可をしていく

すると

まわりの人は、「いいね」って

その人に同意して

応援したくなる

 

 

すると同意は調和するので

どんどん渦が発生していく

 

 

そして

渦は大きくなりながら

また、その渦に「いいね」っていう人たちが集まり

集まった人たちが

本当の自分を見つけながら

渦という愛の世界を作っていく。

 

 

 

 

 

 

 

兄が発病し25年の間

ビックリするような奇跡を

何度も体験させてもらった。

 

 

 

 

きっと、あの時諦めたら

どんだけ楽だっただろう

 

 

 

 

でも、

諦めずに

自分を生きることを決めた兄に

神さまは

「愛の世界」を手渡してくれたんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄は2021年5月28日に

ちゃんと自分の人生を終わらせた。

 

 

宇宙の愛の周波数と言われる528Hz

同じ数列の日に

 

 

自分を受け入れ

自分の意思で「愛の世界」へ旅立ったのだ。

 

 

 

 

 

 

兄の人生に

その愛の渦と奇跡の日々に

 

 

 

私は背筋をしゃんと伸ばし

拍手喝采を送ります