2024年6月12日
17年前、ここ王立美術館に来たときは、建物の複雑な構造を理解できず、
この中世のあたりをぐーるぐる、何回も巡り、エレベーターで移動することに気づいてやっと、
デルヴォーが待つ19世紀のコーナーへ行くことができたのでした。
そして、そのころのヒロミは芸大の卒業旅行と称してベルギーにやってきていて、
まさに美術史の娘であり、キリスト教絡みの絵にあるメッセージを探し、
時代の背景を重ね合わせ、学んだことをすべて復習しようと、めんどくさい感じだったのでした。
もう、あんまり覚えていない・・・
オールドマスターズの織りなす、プリミティブに片足突っ込んだ、それでいて急に緻密、
やっぱり何かメッセージを解読したくなる・・・?気になる絵だけを楽しみましょう。
と、思ったのですが、入口で案内図を入手し損ねて、結局行き当たりばったりで迷子になる羽目に。
ベルギーと言えば、メムリンクの聖母が思い浮かぶ。
メムリンクじゃなくても、みんなそういう顔立ち・・・イタリアの巨匠の方々とはちょっと違う。
少し近づきやすいような、やさし気な雰囲気で。
と、思っていると現れる北方ルネサンス、ドイツのクラナハの「アダムとイヴ」
イヴの自信たっぷりのポーズ。もはや固定観念。イヴはアダムをそそのかす、悪い女・・・
さあ、リンゴ食べましょ!クラナハの描く女性はみんなこういう顔立ちだ。
男性を振り回す、運命の女。
そして、これは!いったい何があった?
観音開きの三連祭壇画?でいいのでしょうか。でも、メムリンクの静謐な世界とは正反対の、
どんがらがっしゃん・・・
画面の奥で事件が起きている。ベルナールト ファン オルレイ「忍耐の美徳」だそうです。
ヨブ記・・・いろんなものをすべて差し出して、最後に神の祝福を得た・・・でしたっけ?
だけど、この絵はそこよりも、騒ぎが起きて、右往左往、困っている人たちを躍動感を持って描いてますね。
「イカロスの墜落」
みんなの歌で、昔ギリシャのイカロスは~ろうで固めた鳥の羽~
っていうのがありました。
飛べたんだけど、太陽に近づいて、ろうが溶けちゃって墜落した?
そういうエピソードが、この画面の右下に小さく、ぼちゃっ!って足だけが見えていて、
人々は、畑を耕し、ヒツジを飼い、船を出す、そんな日常の暮らしを送っているんだよねえ。
この絵は、ブリューゲルとされてきたが、模写かも?と地球の歩き方に書いてある。
そういえば、最終日に行くヴァン ビューレン美術館にもあるんだよねえ。
ブリューゲルといえば、こんなんが好き。「ベツレヘムの戸籍調査」
タイトルと関係なく、フランドルの冬の生活がよくわかる。
建物も、ああ、今もこんなんだなあと思いながら、そして、冬は氷張って、
雪も積もって大変だけど、なんか遊んじゃってるし。
手前ではおいしそうなものも作ってるし。
フランドル、オランダというか北の方はスケート大国。ここから築かれているんだ。
ああ、どんどん進まないと・・・
巨匠ルーベンスのお部屋。大きい部屋全部!絵も巨大!ドラマチック!
親方と弟子の工房体制で大量生産!注文主の望みを叶えます、的な。
私だったらこれがいいかな?
激しいドラマが終わったあとの、落ち着いた世界。
父なる神、イエス、聖霊の三位一体。聖母マリアの被昇天。
マリアの優雅さがいい。
さて、エントランスに戻ります。
この、2階部分、列柱が見えているところが、オールドマスターズの展示スペース。
地上階はベルギーにまつわるいろんな時代の作品で、
写っているのはワーテルローの戦いで、ナポレオン率いるフランス軍対イギリス・オランダ連合軍が
ブリュッセル近郊で戦った、とか。
ナポレオン、英雄だけど、ベルギー的には迷惑な人だったか。
次は、マグリット美術館です。(地下でつながっている)