2024年5月2日

毎年、まつもと市民芸術館のお芝居の誘いを受けて、観劇に行っています。

今年は「リア王」でした。

シェイクスピアと言えば、高校時代、年号を覚えるのに

1564-1616を、ひとごろし-いろいろ

シェイクスピアの生年-没年です。

 

そして、リア王で唯一知っているエピソード・・・

3姉妹の末娘が、お父様を塩のように愛してると言い、怒った王に塩味なしの料理をふるまう・・・

だったのですが、近年それはないらしい。

 

で、王国の人々はそれぞれに人間の業というか、野心というかを持ち、自分に正直に生きている。

簡素な舞台セットで、どこかの会議室みたいなリア王の城、そして登場人物の服装も、

日本の財閥の権力争いみたいな。やんごとなき一族?

(いろんなテレビドラマに役が重なる)

(全員、くせ者に見える)

 

リア王(段田安則、大河ドラマで陰謀を巡らす関白に重なる)

ワンマン会長、裸の王様、自分の思い通りにやって来た。

3人の愛娘に、自分をほめてもらいたかっただけなのに。短気で取り返しのつかないことになる。

 

道化(平田敦子、真犯人フラグにおける猫おばさん)

リア王についていくが思ったことを正直に、現実を認識して、王をアホ―呼ばわりする。

 

長女(江口のりこ フィクサーにおける権力におもねって無実の罪を着せる冷酷な検事)

父王に、甘い言葉、美辞麗句を並べ領土を得るも、

多くの家臣を伴ってやってきた父を邪魔者扱いして次女のもとへ追いやる。

(でも100人連れてきたら、ちょっとめんどくさい気持ちはわかる)

 

次女(田畑智子 人生行き当たりばったりという歌を歌う演歌歌手だったけど、死んじゃったけど)

彼女も、甘い言葉で領土を得るも、野心家の夫とともに難癖つけて、どしゃぶりの中、父を締め出す。

夫が死んだらすぐに、言い寄ってきた男に手を出す。

 

三女(上白石萌歌 パリピ孔明でひたむきな歌手志望、ちむどんどんでも歌手志望)

きっといちばん素直な性格、思ってないことは言えないという。

これから嫁いじゃうのにいつも父のことばっか考えてられるわけないじゃん、とか。

結果、父の怒りを買い、領土の分け前なし、財産目当てじゃない?フランス王の元に嫁ぐ。

が、馬鹿正直すぎるのも考えものだ。もっとちゃんと伝えることはできなかったんかい?

 

さて、もうひとつの家族が、ドラマの行く末に大きなカギを握る。

グロスター伯爵家。

伯爵(浅野和之 私の見てるドラマには出ていない。地味な役かと思ったら!)

ずっと王に仕えてきただろう伯爵は、誠実な部下のように見えるが、

正妻の嫡男のほかに愛人の子もいる。

この時代はこういうのが普通で不真面目ということではないのでしょうが。

兄(小池徹平 キンキーブーツのチャーリーだ)

弟(玉置玲央 光る君へでも段田さんの次男で、汚れ役を引き受けた上、非業の死)

兄はいかにもいいとこの坊ちゃんで、疑うことを知らない純粋培養だったんだけど・・・

 

庶子の弟は、きっと兄との扱いが違う日陰の身。

従順なように見せ、すごい策略を巡らし、兄を騙し、父を騙す。

兄は追われる身となり、乞食に身をやつし狂人のふりをする。

(これが!そこまでやらなくても!小池さん、というパンツ一丁で逆立ちとか)

 

父も策略に翻弄され、やがて両家の陰謀が混ざり合い、両目をつぶされる。

それでも、リア王に忠義をつくす父、乞食のふりをして助ける兄。

 

どの場面にも、身を潜ませ、人の心の暗いところを見極めて立ち回る弟。

リア家の次女の夫が死ぬ。次女はグロスター家の次男を伯爵に取り立てるといい、言い寄る。

だけど、長女と二股をかける。姉妹二人は疑い合い、毒殺?される。

そう、人殺し、いろいろなのだ。

 

リア王は、荒野をさまよいながら、自分の愚かさを悟る。フランス王家に嫁いだ三女に身を寄せるが、

結局死ぬ。フランスも(なんか悪くないのに)攻められて、ふたりとも死ぬ。

 

うまく世渡りをしたつもりの弟も、悪事が露見する。

生き残ったのは、長女の夫(いちばん慎重で冷静)そして伯爵の坊ちゃん。

 

シェイクスピアの本は、人間の、あらゆる欲望を見せてくれる。七つ?の大罪も。

あらゆる人殺しも。

それは彼の時代も、それを今の時代に変換しても、変わりなく人間はそういう動物なのか?

駅前の、il nidoでキールロワイヤル飲んで、(なんとなくロワイヤル)そんなことを思うのでした。

ちょっと、血の色・・・