2024年4月23日

扉が開くと、目の前に大壁画、高さ3.65メートル、幅20.5メートル。

「秋田の行事」

そして周囲を取り巻くように、藤田の作品が展示されていました。

 

乳白色の裸婦で一世を風靡したけれど、きっと少しマンネリで新境地を求め、

ヨーロッパ以外の地を巡った。

妻の、マドレーヌを伴って、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ等中南米を巡り、

日本に帰国したのが1933年(昭和8年)だ。

マドレーヌはフランス人の踊り子、1936年に急死してしまう。30歳、モルヒネ中毒という説がある。

 

日本で藤田のパトロンとなった平野政吉は、マドレーヌの追善供養ということで、

秋田に美術館を建設することを提案した。

平野に作品譲渡を決めた藤田は、マドレーヌがモデルの「眠れる女」

その作品を抱いて汽車に乗り、秋田まで持ってきたという。

この作品に向かい合う。泰然とした表情の女。何の心配もなさそうだけど。

横に眠る猫は、藤田?裸の女性にいつも猫がいるけれど。

そのほかに、「マドレーヌ像 羽子板型」

「五人女」これは全て、マドレーヌがモデルとか。

「自画像」1936年、日本のアトリエを描いた、ちょっとやさぐれた藤田・・・

でも、マドレーヌが生きていた時点で、次に妻となる存在の君代とつきあっていたとか?

いろんな噂がある、モテ男だったんだろうか・・・?

 

そして、秋田の行事とは、大壁画、こんなの数日で描ける、とか豪語した藤田に、

本当だね?本当だよ!みたいな売り言葉に買い言葉で、平野の言葉に乗ってしまった彼が、

約束を果たしたというものだ。

 

絵巻物のように、作品は、右から外町の日吉八幡神社の山王祭、その中に平野の姿も見える。

次に大平山三吉神社の梵天奉納、これは激しい。

そして竿燈。竿が倒れちゃって大変なことに・・・にぎやかだ。祭りの喧騒が聞こえてくるよう。

メキシコで、壁画を学んだという。そして色彩と、躍動感も加わった。

 

左半分、香爐木橋(こおろぎばし)を境に、秋田の冬が描かれる。

「こおろぎ橋」と聞くと、連続ドラマを思い出す。

あらすじは思い出せなかったけど、主題歌は鮮明に・・・

 

 

でも秋田が舞台じゃなかったよ・・・山中温泉。

で、この橋を境に、秋田犬、かまくらで遊ぶ少女たち、

材木、油田、米俵、と秋田の生業も描かれる。

 

やっぱり、かまくらの中できりたんぽ(おにぎりかもしれない)つくる少女がかわいいよねえ。

猫はいない。

 

藤田のサイン、

昭和十二年 自 二月廿一日

      至 三月 七日 百七十四時間完成 と、記入されている。

藤田のドヤ顔が目に浮かぶ!

 

これを、平野家の米蔵で描いたそうです。その模型も展示されていて、完成品を出せなくなって、

一部の壁を壊したという、ドラマのようなエピソードも、いかにも彼らしいというか。

 

この細長い絵葉書じゃないね、レプリカを買ってきましたが、巻紙でした。

 

この展示が、2階フロアで見ると見上げる感じ、上の階に上って、遠目のギャラリーでも見れるのですが、

そうすると見下ろす感じで、ヒロミの希望としては目の高さにして欲しかったなあと思う。

(平野政吉美術館ではそうだったようで)