2024年2月22日

陶工・河井寛次郎が昭和12年から41年、亡くなるまで住んでいた家であります。

玄関から入ると、何人もの人が受付で待っている状態。入館の人と、絵葉書買う人・・・

そんなにメジャーな記念館ではないと思っていましたが、日曜美術館効果でしょうか。

 

受付のすぐ奥は、自在鉤、炉が切ってあり、

それを囲むように臼から作った椅子が置いてあります。

ここで、仲間と、作陶や民藝について語り合ったことでしょう。

座ってみる。お尻にフィットして、馴染む。

目に入るものは、花を生けた彼の作品や、日常生活に使う道具だ。

これらが、自然に、いろんなところに配置されている。でもうるさくない。

色合いと意匠が、この家と共鳴し、調和を保っている。

寛次郎が、作りたいように作った家だ。彼の実家は安来の棟梁だ。

そこから兄弟や仲間を呼び寄せて、しっくりするものを完成させた。

まさに、生活の中に見いだされる、「用の美」だ。

 

規格にそろえるのでなく、板のあるがままの幅で貼り合わせた床だ。

それが模様となり、リズムを生んでいる。

 

2階に上がってみましょう。

中央が吹き抜けで、囲むように部屋があります。

ここにも、通底するのは穏やかな空気、集いたくなる空間。

さりげない季節の花と、花瓶と、障子の桟の調和だ。

そしてまた、椅子に座ってみる。書斎の椅子だ。

細いよ、というあゆみさん。

確かに、これは太ってしまっては体が入らないかも。

これも自分でデザインしたもので、手に馴染むひじ掛け、

足の下には引き出し、そしてキャスター。

居間には寛次郎の作品がゆるやかに置かれている。

展示というより、前からそこにある感じ・・・猫の彫刻もあるのだけれど。

そう、この館には看板猫、えきちゃんが気ままに歩き回っているはずだ。

さっきから、にゃーん、にゃーん、という声がする。

姿は見えない。

どこにいるのおおお~

(つづく)