2023年12月14日

今回の「楽興の時」という辻井伸行さんのコンサートは、長野には回ってきませんでした。

いちばん近いのが、川越で、せっかく大宮経由なので、青森まで行って、

ようやく「ウエスタ川越」にたどり着きました。

今年の初め、長野でのコンサートはジャズに向かった少しモダンな雰囲気の演奏でしたが、

今回はバッハ、そしてラフマニノフです。

 

バッハの「フランス組曲」から始まりました。

そしてショパン、たゆたい、よどまず、音が繰り出され、きらめいて、行きつく暇もなく、

強い高音が印象に残りました。

最後の「幻想即興曲」は、荒川静香さんがトリノのSPで滑った曲です。

荘厳かつ、華麗なスパイラルがよみがえります。

 

後半、ラフマニノフ。

「ヴォカリーズ」

素直な、癖のない旋律を繰り返し、人生を振り返る、そんな気持ちになる。

(自分のメモ)

 

最後が「楽興の時」

今年はラフマニノフの生誕150周年で、初挑戦という言葉。

 

この、プログラムに原題?表記がありました。

Moments Musicaux 

これって、阿部海太郎さんの「世界で一番美しい瞬間」のタイトルもこれ?

と気づく。

それに引っ張られ、この演奏から「美しい瞬間」はどんなものかを想像する。

夜のモンサンミッシェル、満ち潮、そういう自然の脅威を感じる。

さらに、怒り、噴火、燃えたぎるもの、

夜明け、朝の光、そしてパワーみなぎる魚の群れ・・・

 

圧倒される。なんという力。

 

アンコール

主よ、人の望みの喜びよ

ラ カンパネラ

 

「鐘」を選んでくれたのは、川越に「時の鐘」があるからでしょうか。

そんな思い、

最近見たアインスダンスのロパレバ&ブリソーの演技「鐘」の強い映像がよみがえり、

近くに、遠くに響く。運命。

 

「ラ カンパネラ」

直前に見た、辻井さんの特集でも弾いていたこの曲。

リストは連打できるピアノにこだわった。

繊細に連打する。目にもとまらぬ速さの指つかい。

強い音が出る。高音、叩き続ける。こんなにも大きい音が出るのか!

終わった瞬間の放心状態。

拍手では、感謝を返せないと思いました。

隣の、知らないマダムと、感激を分かち合いました。

プログラムに私がメモした言葉は、

「あなたは神です」