「如月彩香」さん。平泉がそう言うと、廊下側から2列目のショートカットの女子が無言で立ち上がった。
太陽は目を見張った。彼女はモデル級のスタイルをして、出るとこ出て、引っ込むところはこれでもかと引っ込んでいる。出席番号3番の大杉さんと並んで歩いたら、箸と箸置きに見えるだろう。
姿勢が良く、身長も170は軽く超えているだろう。パリコレを彷彿とさせる、その美脚と、骨盤で歩くウォーキング。対して太陽の歩き方はウォーキング・デッド。ゾンビ。とどのつまり、悪い、姿勢が。
母親からは、「あんた、姿勢悪いとモテないわよ!ほら!あのテレビに出てる人を見習いなさい!ほら!あの!ピンクの!ベストの!あれあれ!、、、春日!そうそう!春日!春日!」
誰も悪くはないのだ。母親が口うるさかったのがいけないわけじゃない。春日があんなキャラしているのが悪い訳じゃない。ただ、俺が冷静すぎたのだ。春日じゃモテん。モテんぞ。オードリーの時点で、、、アウツ!せめて、、、五郎丸、、、五郎丸歩!トゥースと、あのルーティン、、どこか似てるから、、、!
ぱっ、っと前を見る。如月彩香の顔を見ると、ハーフ!ローラ!チャンじゃない方の!
「まじか、、、!」俺はすぐ背筋を伸ばし胸をはった!何故かって、、、ハーフは、、、男性ホルモン多めのスポーツゴリゴリマッチョ好き、、!
これはベッキー以外の全ハーフタレントに通ずる、もはや常識!この如月彩香も例外ではないだろう。Jリーガーなんて特にそう!何故か2軍のやつとくっつくのが多い!何故だ、答えは明確だが
言及しない。
すると太陽の耳に入ってきたのは流暢な日本語を話す、透き通った声。まるで自分の耳が綺麗な水で中まで洗い流されている感覚。。。そして綺麗になった耳の中には一輪のスイートピーが咲いたかのよう。。。。
声の空気清浄機。
太陽は言葉としてではなく、音として聞いていた。またもや自己紹介は聞けなかった。