cheeseです💕

 

 

 

今回ご紹介するのは

こちらの一冊📙

(瀬戸内晴美『ゆきてかえらぬ』小学館、2023年)

 

寂聴先生が出家なさる前にお書きになった本📙

5つの人物評伝集です。

 

 

📕📕📕

 

cheeseの心に残ったのは

「三鷹下連雀」「鴛鴦(おしどり)

という2つの作品。

 

「三鷹下連雀」

太宰治を彼の女性遍歴も交えて描いたものです。

 

cheese

太宰の女性遍歴(および彼の死生観)については

全然知らなかったのですが

こうやって読みますと

かなり危険な香りがする男性✨

そんな太宰を慕う女性たちの姿を

著者は「まるでみてきたかのように」描きます。

 

興味深かったのは

著者と太宰と愛人の娘(太田治子氏)

との交流について述べられたくだり。

この部分があることで、

太宰の人生が

少しほっとしたものに感じられました🌸

 

著者の筆力もあるのでしょうが

ドロドロした愛憎関係ふくめて

「ま、みんな、それぞれ精一杯生きたよね」

と広い意味での人間愛に収斂されるんですよね。

のちに著者が出家する萌芽も感じられます。

 

 

 

後者の「鴛鴦」

幸徳秋水の正妻・千代子を描いた作品。

 

幸徳秋水といえば、菅野須賀子。

 

秋水は正妻がありながら

同志(荒畑寒村)の内縁の妻であった

菅野須賀子とよい仲になってしまうのですよね💦

 

秋水は大逆事件で

須賀子とともに捕えられ

人生を終えたことから

この二人がクローズアップされることが多い。

著者も、菅野須賀子をとりあげた小説(「遠い声」)を書いてます。

 

しかし

「千代さんの心中を思いやる時、

須賀子だけ書くのは片手落のような気がし」(p.230)

本作を執筆した、と著者は述べます。

 

 

千代子の遺品の中には

彼女が描いたいくつかの絵もあったそうなのですが

「おしどり」を描いた絵には

一羽の鳥しか描かれていなかったのだそう。

著者をうごかしたのは

この絵だったのかもしれません🦆

 

 

「男と女のこと」で時代、時代をきりとってしまう著者。

 

 

今回も一気に読ませていただきました😊

ありがとうございました🌹

お読みくださってありがとう。

九州からたくさんの愛と感謝をおくります💕

 

              cheese