morning musume history review #20
「モベキマスの裏テーマ」



ハロプロの全員が揃ったモベキマスの歌う「ブスにならない哲学」。

正直、曲にも衣装にもダンスにもほぼ興味がなく、受け流していた。
なのだが、別のことをしながら何とはなしにこの曲を聞いていたら、なんだかとんでもないことに気づいてしまった。

これ、宣戦布告の曲ですよね。

1番の歌詞から「おやっ」と思った。恋愛の歌詞っぽく書いてオブラートに包んであるけど、どうもそうではない。
言葉に攻撃力があるというか、とげを感じる。
2番に入って、それはほぼ確信に変わった。
あ、これ、ロックだ。
これを作詞作曲した人、売る気なんてない、むしろこんな「みんな集まったので売れたいです!」みたいなプロジェクトなのに、正反対のことをやろうとしている、と感じた。

曲もどこか無機質というか、匿名的だ。いつもの濃さがない。
みんなで歌う系の曲なので、ボーカルにもそれほどアクがない。
なのでぱっと聞くと、なんだかよく分からない印象で終わってしまう。



果たして彼は、メンバーたちにこの意思を伝えたのだろうか。
おそらく、伝えていないと思う。
気づくやつは気づいてくれ、そんな気持ちだったのではないだろうか。
なんとなく、彼はそんなスリルを楽しむというか、どさくさに紛れて宣戦布告をしたようにみえる。

こういう宣戦布告、好きだ。
面と向かって非難するのではなく、作品の中にメッセージ性を持たせ、分かる人には分かるように主張する。


彼のブログを読むと、前向きなハロプロメンバーたちの姿を見せることで、震災などで弱っている日本を元気にしたい、という主旨のことを書いている。
もちろんこういう思いもあってこの曲を書き、ハロプロメンバーを叱咤激励する気持ちもあるのだろう。
しかしどうも、それだけではないような気がしてならない。
メンバーたちに対して、「色々思うこともあるだろうけど、君たちのやっていることは確実に人の心を動かしているから、情報に惑わされずに頑張れ」というメッセージが見える。
これはまったくもって、我々ハロプロファンの気持ちをも代弁している。
我々は常々、「負けるな」「君たちは正しい」と思って応援している。
汗だくでなりふりかまわず必死にステージをこなしている姿を見て、そう思っている。
そんな曲をこんなお祭りプロジェクトで書くつんくさんは、ロックだと思う。

それにしても菅谷さんの歌声は、存在感がある。


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いつの間にか連載も20回を数えました。モーニング娘でいうと、「Go Girl ~恋のヴィクトリー~」ですね。まだまだです。
この曲が出たころは興味を失っていて「へええ、サッカーの」くらいの認識しかなかったのですが、今聞くと、ソロパートが全くないという珍しいシングル曲だったのですね。PVの石川さんが、とりわけ美しいです。石川さんといえば、最近は美勇伝の「愛すクリームとMyプリン」に今頃はまっています。下世話さが新鮮というか、何度も味わいたくなる下世話さが楽しい。(toggle)