最近、部下、後輩、上司に対して
「いつもの●●さんらしくないなぁ」
と思う出来事はありましたか?
どのような状況が、
その人に「その人らしくない言動」
をさせたのでしょうか?
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の続きです。
このページでご紹介したよう、
私は社会人3年目の時、「大きく成長したい」という理由から
自ら上司にお願いして、少し大きな仕事を担当させてもらい、
そして見事スランプに陥りました。
とある製造業のお客様にて、
ITを使った業務変革プロジェクト成功に向けて、
進捗や課題を聴き、必要な支援をする、というのが当時の私の役目。
在庫管理から生産計画、物流まで幅広い領域の業務をより良く見直し、
システム化するためのプロジェクトであったため、
お客様側では社内の各部署を巻き込み、大規模に進められていたと思います。
私の対面となるお客様のキーマンは情報システム部のAさん(男性 50代くらいかな)
とても温かく優しい方で、入社3年目の私にも丁寧に接してくださる方でした。
当時 私は仕事のために、とタバコを吸っており、
製造業のおじさん達と仲良くなるために、たばこ部屋についていっては、
「本音の話」や「執務スペースでは聞けない話」を聴かせてもらおう、と必死でした。
ちょうどプロジェクトが順調とは言えない状況になっていた頃、
焦る気持ちから、いつものようにAさんを追いかけ、たばこ部屋に向かいます。
ですが、Aさんに話しかけても、目も合わせてくれないし、言葉も返してくれません。
そんな日が何度か続き、私の心も折れました…
何にもできない自分が情けなく、
焦りと自分に対するもどかしさで、
自分以外の状況を冷静に見ることができませんでした。
ただ、目の前の「トラブルに見える状況」を乗り越えるのに必死でしたので。
なぜAさんの態度が変わったのか、には目と心を向ける余裕もなく、
ただAさんを「怖い」と思い、近づく勇気も失くなっていきました。
その後、社会人5年目になり、私は経営企画室に異動し、新しい仕事に就きました。
3年目当時のこのスランプをきっかけに始めたベリーダンスのおかげで、
仕事もプライベートも充実し、心も強くなった私。
そんな私に広報部からお声がかかり、日経アソシエに掲載いただきました。
◇今年こそ「始める技術」◇
何か偉そうなこと言ってます。
『 「時間があれば」では始められない
趣味の時間は忙しくても作れ」』
ですって…(笑)
この記事を見たAさんから、3年ぶりに突然メールが来たのです!
「お元気ですか?
日経アソシエ、拝見しました。
ご活躍のようで何よりです。
私は今、こんなことしています…(近況報告)」
と。
嬉しくてたまらなくて。
ある日突然そっけなくなって、目も合わせてくれなくなったAさん。
別に私のことを嫌いになったわけではなかったんだ、
ということを実感できた瞬間でした。
この時初めて、
Aさんが3年前のあの時、
どういう状況で、どういう気持ちだったのかを冷静に考えました。
「Aさん、周りに何か反対されてたのかなぁ」
「Aさん、誰かに裏切られたのかなぁ」
「Aさん、社内で結構風当り冷たかったんだろうなぁ」
「Aさん、もしかするとプライベートで何かあったのかなぁ」
こうやって想像すると、
当時 私がたばこ部屋でAさんに欠ける言葉も、
変わっていたかもしれません。
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5月も後半に入り、今年もいくつかの会社様で
職場で新入社員を育成する役割である
OJT指導者(トレーナー・メンター・チューター・指導員など 会社によって呼び方は様々)
の方の研修を担当しております。
新入社員、あるいは後輩に対して
「あれ? いつもの●●さんらしくないな」
と思う言動があったら、
ただそれを指摘・叱るだけでなく、
「何が、●●さんをそうさせているのか?」
という状況に目を向けてみてください。
先輩、上司に対しても、
「あれ? いつもの●●さんらしくないな」
と思う言動があったら、
「あー ヤダヤダ 近づかないようにしよう」
と嫌ったり、避けたりするのではなく、
「何が、●●さんをそうさせているのか?」
という状況に目を向けてみてください。
かける言葉が変わるのではないでしょうか。