今日はみーちゃんの入っている冒険クラブの日。
皇居周辺を散歩するんだって、いーね!ママは東京生まれ東京育ちだけど、皇居周辺を歩いたことないや。
いつも誰もお友達のいないクラブに言って、楽しんで帰ってくるみーちゃん。ママはそれだけで「凄いなー、ママがみーちゃんの歳なら出来なかったな」と尊敬なんだけど、やっぱり少し「大丈夫かな、泣かないかな」とそわそわ見送る。本人はどこ吹く風でニコニコ出かけていくんだけど…。
今日は玄関で「出発しよ!」と声をかけると、まだ早いだのパンツが食い込んだだの、モジョモジョ不満げな顔。確かに時間はまだ早い。ママは早めに出たいタイプだけど「じゃぁゆっくり準備していいよ」と待つ。
ゆっくり上着を着て、あ、ウエストポーチが先だ。と上着をぬぎ、また着て、リュックと水筒どっちが先の方が良いか…とぶつぶつ。靴下が短いのではないかとぶつぶつ、靴を履こうとして「このズボン、しゃがめない」と文句。「…でも今はそれしかないよ、また柔らかいの探しとくから」みーちゃんは普段長ズボンを履かないので、動き辛く感じるようだ。
やっと準備が出来たみーちゃんが、ドアの前から動かない。
「どうしたの?」
「………。」
「何かあるなら言わないとわからないよ」ママは玄関を開けて先に出る。
「……お友達と遊べるか不安なの。」
え!そうだったのか!!
「みーちゃんいつもニコニコ帰ってくるじゃん、大丈夫よ
」
「でも緊急事態宣言で2ヶ月も会ってないから、お名前わからないよきっと…」
こういう時、頭の中で励ましエンジンにターボがかかる。これはママになって身についた機能だ。みーちゃんは要所要所で弱気だから、乗り越える為に「へっちゃらだよ」とあの手この手で伝えるエンジン。
とにかく自転車に乗せ、話しながら走る。
「ママはみーちゃんが冒険クラブで楽しんで来れるの、凄い才能だなと思ってる。ママは1年生の時小さくて泣き虫で、お友達に遊ぼうって言えなかったし。良くメソメソしないの!て怒られた、ばぁばにも、ひいばぁばにも、学校の先生にも。怒られたらより泣いたけど笑」
「そうなの?」
「そうだよ、ママはみーちゃんみたいに何でも出来る子じゃ無かったから、いつもみーちゃんみたいなしっかりしたお友達に守ってもらってたよ。だからみーちゃんがさ、お友達と遊べるか悩んだり不安になるのすっごくわかる。」
「ママはそういう時どうしたの?」
「え、ママは教室のカーテンに包まって泣いたり、図書室のソファーに寝転んだり、跳び箱に隠れて過ごした」
笑うみーちゃん。ママはママで、あの頃必死に過ごしたのだった。
「でもママはある日気がついたんだよね。普通の気持ちのずっと下まで潜って、悲しくなったり不安になってると楽しい事があった時にすぐに楽しくなれないんだよ。ホントは笑いたくても顔も固まっちゃう。普通の気持ちのちょっと上で『わくわく、うきうき』してると楽しい事あった時にすぐに嬉しいし笑えるの。なんかわかる?」
「うーん…すこしね」
「そしてママがそれに気がついたのは、17歳でした。今みーちゃんは7歳です。では何歳差があるでしょうか!」
「10歳」
「そう、みーちゃんはママより10年先に、ママが17年かけて辿り着いた事を知ったわけ!ラッキーだね」
「知ってるといい事ある?」
「わからない、知らないよりは楽なんだと思う」
みーちゃんはもう笑顔だった。
ホッ。
キヨスクでチョコレートを買い、口にポンと入れてあげる。みーちゃんは「美味しい!マカダミアナッツっていうの?ママは美味しいものいっぱい知ってる!!」とニコッと笑い、やっぱり少しもじもじしながら約束の時間の電車に乗りこんだ。
中には同じ帽子を被った子がたくさんいる。
楽しんでね、行ってらっしゃい!!
