どもども。CHAZZです。^^

久しぶりに書評をあげます。

東洋書院から復刻された『和訳 焦氏易林』が届きました。

焦氏易林は焦延壽(しょうえんじゅ)が書いた書で、断易の祖である京房の師とされる方です。周易から断易に発展するミッシングリンクをつなぐ重要な書籍です。

近藤龍雄訳による『和訳 焦氏易林』は知る人ぞ知るという書籍でしたが、ようやく復刻の機会を得たという感じです。マニアック中のマニアックな書籍ではありますが、コレクターズアイテムとして購入されたとしても価値ある書籍だと思います。

解説されている林晃徳氏は、故・綾小路蘭堂先生のお弟子さんです。
この綾小路蘭堂先生の名を知る方は少ないと思います。JR総武線沿線に鑑定所を持っていた蘭堂先生ですが、書籍なども出版されてないため関東圏でも知名度は低く、特に関西圏ではほぼ無名だと思います。
しかし『焦氏易林』の使い手として知られた易の達人でした。

実はこの綾小路蘭堂先生は、私が出会いたくても機会に恵まれなかった方で故人となられた事を知った時は大変ショックでした。
その後、数奇な流れでとある故人の大量な蔵書を入手する機会があったのですが、数年後にそれが蘭堂先生の蔵書であることを知って驚愕したことがありました。
その時に一部『焦氏易林』の資料が入っていて、後に別ルートで近藤龍雄和訳『焦氏易林』も2度入手する機会に恵まれるなど、我が人生においても縁の深い書籍です。

日本で『焦氏易林』を研究し、おそらく日本一の使い手とされたのは「赤丸易」と称された岩谷赤丸師です。
戦後の易の世界では同世代の達人から「赤丸君くらいの頭脳があれば・・・」と言わしめるくらいの研究者であり、四千九十六卦の詩(六十四卦×六十四卦)が書かれている『焦氏易林』を全て暗記していたと言われていました。また、難解な詩を縦横無尽に解釈できる方でもあったのです。
綾小路蘭堂先生はこの岩谷赤丸師の弟子にあたる方で、赤丸師と同じように蘭堂先生もほとんどの詩を覚えていたという達人だったようです。
蘭堂先生はこの『焦氏易林』と断易を相談によって使い分けていたようで、生前にお会いして実際の鑑定を是非体験したかったと今でも思います。

蘭堂先生の弟子であり直接指導を受けた経験を持つ林晃徳氏とは東洋書院とわが師・東海林秀樹先生を介して数回お会いする機会に恵まれました。そして、自分が疑問に思っていた綾小路流易学について実践技法に関して非常に参考になるお話を聞く機会に恵まれたことは自分の占術人生においても大変有益な出来事でした。

正直『焦氏易林』を独学で使いこなすのは並大抵ではないと思います。
ですが、この復刻によって『焦氏易林』と出会い、新しい担い手が現れる可能性があることを考えると非常に感慨深い出版ではないかと思います。