あるヒムガシの国に
ひとりの皇帝がいて
千年以上前から
その国を治めていて
1人の皇帝の時代が替わる度にその国の元になる号をつけた
初めての号は「大化」
それから247番目の「平成」という時代になるまで
いくつの「戦争と平和が」繰り返されたことだろう
「平成」の前の時代には大きな悲しい戦争があって
戦に敗れた国の皇子様は、
今度こそ殺されると覚悟して
きつくきつく歯を食いしばり
目を閉じた
けれども皇子様は助けられ
閉じた瞼の隙間から
かすかにかすかに光が差したので
ああ
この国を救うためなら
マロは命を捨てても構わないと
その時決意されたのだった
皇子様が即位されてから30年
恐れていた戦争は一度もなかった
この国の民が幸せでありますようにと
これほど心をこめて願った人が他にいたか
30年の3分の1
たった10年前だけれど
私はあなたに出会った
たったひとりのあなたに出会った
戦争のない美しい時代に
あなたに会えてよかった
春には桜の花びらを集め
日照りの夏には冷たい水に足を浸し
紅葉の秋ははらはらはら
裸の木の幹や枝にしっかりと巻きつけられた無数の光
そのイルミネーションに輝く下を
あなたと一緒に歩いたのだった
ああ
どうか
全ての民が幸せでありますように
この国の平和を願う
「平成」の光に照らされて
わたしはあなたと歩いて行く
きらめく光の中を行く
あなたに会えてよかった
平成の世に出会えてよかった
戦争のない時代でよかった
