相変わらずレギュラーの参加者はアンヘロ・マリオ・トビの3匹だ。

他の4匹のうち、あさんぽは旧レギュラーのミケとアンジェラが多い。

ゆさんぽは毎回ばらばらである。

行方不明は常習犯だったマリオは激減してトビが主役だ。

しかし、何回か次回出場停止のペナルティーを食らってからは減ってきた。

このペナルティーに効果があるのは本当に不思議だ。

猫が半日後まで自分がやらかした不都合な事実を覚えているとは思えなかったのだ。

元々効果は期待せず、あたし自身を納得させるためにやっているようなペナルティーだったのだが、これが効くのである。

他の猫が出かけて行く時に自分ひとり追い返されるのがよほどショックなのだろう。

そしてなんでだろうと考えると前回のお散歩が原因だろうと思いあたるのだろう。

猫も終了時はあたしと一緒に帰らなければならないということは完全に理解しているのだ。

しかし、トビはまだ行方不明になるが、以前と違ってあたしが見ている前でよその家に入って行くと言うことはまったくなくなった。

今はあたしが他の猫をマークしていて完全フリーになった時だけなのだ。

ようするにあたしが見ていなければいいのだと勝手に決め込んでいるようだ。

ただし、アンヘロと同様にペナルティー対象の回は自分から参加を自粛することもあるので、それでもダメなことは分かっているのだ。

だったら最初からやるなと言いたいが、まあ猫の賢さはその時の欲求には勝てないのだ。

 

お散歩中あたしは称呼確認をする。

「右良し、左良し」というあれだ。

主に誰がどこにいるという情報なのだが、1日2回もやっているので、確認してもすぐに忘れたり、その前のお散歩と混同してしまう。

口に出して言うとそれがしっかり映像付きで記憶できるのだ。

おそらく口を動かすという動作が入ると記憶の回路が通常とは違う名所にできるのだろう。

たとえばミケはどこかなと口に出すとその場面が頭の中で再生されるのだ。

わがビレッジは人通りが実に少ないし、道も広いので安心して声出して確認できる。

たまたま誰かが通りかかっても日本語なので、意味は分からないということもある。

ネコと話してるのだと思ってくれるだろう。

 

ということでついでに普通の独り言もよく混ざる。

そして独り言の後には音楽がくっついてくる。

一番多いのは当然「暑い!」であるが、その後には「あーついビートを鳴らして」と続く。

余談だが、あたしはオリジナルの”eat you up"より荻野目バージョンの方が大差でいいと思っている。

原曲はかなりかったるい曲だが、実にノリのいいアップテンポなダンサブルな曲に変身している。

あたしは日本人で年寄なので、何か動作をするのによく掛け声をかける。

「よーいしょっと」の後に続くのは”sheriff, but I didn't shoot the deputy」である。

あたしはレゲエな人ではないので、ボブマーリーのオリジナルではなく、頭の中で鳴っているのはクラプトンのカバーだ。

マリオを遠くから見ている時には今見えているのがマリオかただの物体かはっきりしないときがある、それが確認できた時には「アーレマリーオ」である。

これは讃美歌だ。

マリオを探していて見つけた時には「マリいった」。

これはタイトルも歌手も知らないがタガログ語で"maliit ka"という歌詞を繰り返す曲だ。

トビは突然ずんずんと進んで行く時がある。

そういう時は「ずんずんずんずんすんずんどっこ」だ。

ずんずん進んでどこいくのという意味だ。

そして、アンヘロにはついにテーマソングができた。

あたしは以前も紹介した通りアンヘロにはたくさんのニックネームを付けている。

最近のお気に入りはへロリンだ。

ある時お散歩の帰りにへロリンと呼びかけた時になにかメロディーがついていることに気が付いた。

意識していたわけではないので、なんのメロディーだろうと考えてみると、バッハのトッカータとフーガニ短調だった。

そう、テレビ番組なのでも効果音的にやたらと使われるあれだ。

そしてせっかくなので、その場の即興で歌詞の続きを作ってやった。

それはこうだ。

「ヘロリーン ヘロヘロリンリーン ヘロリーン ヘロヘロ」である。

あたしに作詞の才能なんてある訳がない。

 

ということで我が家のお散歩は音楽に満ちているのだ。