エンジェルはようやく永眠した。

もう苦しまなくて済むのが嬉しかった。

その1では色々前兆に気が付いていたのだが、まさかこんなに早く死ぬとは全く思っていなかった。

歳をとったので、これからの何年かは色々と世話が必要になるだろうと思っていたのだ。

だが、早く医者に行っても既に手遅れだっただろう。

きっともう何年も前から内臓はボロボロだったのだと思う。

 

早速チャンキーとアンジェリカで世話になったシランのペットバレーに連絡した。

連絡した後で、嫁はんの親戚からもっと近くにあるのにと言われた。

確かにフィリピンでもペットの室内飼いが急激に増えている。

そうなるとニーズに従って葬儀場も増える道理だ。

他にも数件新設されていた。

ネットで調べると確かに半分ぐらいの距離だ。

幹線道路沿いで便利そうだ。

ついでに料金も見たが、火葬は体重に応じて加算される仕組みになっていた。

そういえばペットバレーからも体重を聞かれた。

きっと石油価格の高騰で、そうなったのだろう。

でも、キャンセルの連絡は入れなかった。

あたしはペットバレーが好きなのだ。

施設の前の道が未舗装でがたがたなのだけが気に食わないが、とても静かで緑豊かで庭もきれいで、心が休まるのだ。

エンジェルもここから旅立って貰いたい。

その日の夕方に早速引き取りに来てくれた。

引き渡す前に目と口元と手足をきれいにしてやろうかとも思ったが、やはりプロに任せることにした。

 

翌日は葬儀だ。

嫁はんも珍しく早起きして、午前中に現地に着いた。

近年完成した高速道路のCALAXを通って行った。

かなり遠回りなのだが、SLEXと繋がっているので、時間は早かった。

例によって、まずは死体に対面して、簡単な儀式と別れの挨拶だ。

さすがにプロで、見るも無残なほどボロボロだった体はきれいにしてくれていた。

待っている客もいないので、長い時間別れを惜しんだ。

そして、焼却だ。

1時間ほどで、お骨になった。

お骨を入れて飾る額を選んだ。

以前は別になっていた足型も見開きで一体化されている。

今は骨壺は使わないようだ。

額の後ろが箱になっていて、そこに粉上に挽いたお骨を入れるのだ。

困ったのは額に入れる写真だ。

エンジェルは写真を撮られるのが嫌いでな猫だ。

起きて居る時は嫁はんが写真を撮ろうとしても逃げてしまうので、寝ている写真ばかりだ。

あたしは寝てばかりいるのがエンジェルの特徴なので、それでもいいじゃないかと言ったのだが、嫁はんは目を開いている写真じゃないと嫌だという。

1枚いい写真があったのだが、ソファーに横になっているあたしの腹の上のクッションに乗っている構図だ。

当然あたしの体やタブレットが映り込んでいる。

しかし、これもプロの芸で上手く編集してくれた。

背景を草原に変えて、見事に見栄えのする写真になっていた。

さすがにクッションを消すとエンジェルの体も切れてしまうので、草の上にクッションに乗ったエンジェルが居るという不思議な写真なのだが、あたしは違和感を感じなった。

嫁はんも喜んでいた。

 

お骨になったエンジェルと一緒に家に帰った。

額はチャンキーの隣に置くことにした。

本当はエンジェルのお気に入りの寝場所だったメインベッドルームのベッドの脇のテーブルに置いてやりたかったのだが、他の猫が落として壊してしまうからと、嫁はんが反対したのだ。

確かに既にアンジェリカの足型を壊されてしまった。

葬儀場で聞いたところ、修理してくれるそうなので、次の機会には一緒に持っていくことにした。

でも、次の機会は当分来て欲しくない。

 

その晩真夜中にエンジェルの鳴き声で目が覚めた、

辺りを見回したのだが、姿は見えない。

必死で音の出所を探ったところ、あたしの鼻だった。

鼻が半分詰まって音を立てていただけだった。

これが猫の鳴き声に聞こえてしまうのが悲しかった。

改めてエンジェルが居なくなったことを実感した。

 

さようなら、エンジェル。

寝るのが大好きだったエンジェル。

もう誰にも邪魔されないので、思う存分寝てくれよ