翌日は朝からニュルンベルク。
どんどん移動距離が短くなってきてうれしい。
ニュルンベルクといえば真っ先に思い浮かぶのが
ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』。
このオペラの前奏曲は、オペラファンならずとも聞いたことがある人は多いと思う。
私はニュルンベルクといわれると昔からそのイメージしかなかったけれど、
弟はというとちょっと違うらしい。
・・・ってことで、弟の思うニュルンベルクのもう1つの姿を求めて
朝から少し町から離れたこちらへ。
さて。ここはどこでしょう!!!
正解は、ツェッペリン・フェルト。
ここは何かというと、
1933年から1938年までナチ党大会が開催された場所。
ツェッペリン・トリビューネ。ここで30万人以上の聴衆を前にアドルフ・ヒトラーは熱狂的な演説を行い、
あのおぞましい第二次世界大戦へとドイツを導いていったのだ。
かつてヒトラーが演説をしていたであろう場所に弟が立っている。
(向こう側はサッカー場みたいになっていた。)
中世の時代から魔女狩りとか宗教裁判とかユダヤ人迫害とか
色々やってきているドイツは(ドイツだけじゃなくて欧州全体だけど)、
実は昔から、綺麗なだけでは終わらない重々しい歴史がある。
それでもやっぱり、中世の時代、近世の時代のお話は
夢があったりロマンを感じたりする。
しかし、私がこのナチスの歴史を思うとき、
どす黒さや苦々しい後味ばかりが残るのだ。
・・・ってことで、これまでドイツ人の前でナチスの話なんて
なかなか簡単に出来なかったし、
ドイツ人自身も意識的にナチスの史実を反省し、
ナチス色を完全に排除しているような気がする。
(ネオナチとかいるらしいけど見たことない。)
だからドイツに住んでおきながら、
ナチスを感じてきたことなんてなかったけれど。
この場所は猛烈に、ナチスを感じる特殊な場所である。
ここは帝国党大会会場文書センター(Dokumentationszentrum Reichsparteitagsgelaende)
通称ドク・ツェントルム。
ここは博物館になっているけれど、ナチスの党大会は1933年以降ニュルンベルクで開催、悪名高いニュルンベルク法もなんとここで制定されたという。
※ニュルンベルク法※
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF%E6%B3%95
ドイツ人を守るための法律で、ユダヤ人の公民権・人権を奪った
あの独裁政治そのものを作り出したナチスの恐ろしい法律。
↑アドルフ・ヒトラーがど真ん中に。
ここはなかなか見ごたえがあってすごかった。
2時間近くはゆっくりいれたと思う。
今まで見たことがないようなナチ党の熱狂的なパレードや
ダンスパーティ、音楽隊、
ヒトラーの力強い演説の映像、音声をたくさん見ることが出来る。
この美しいニュルンベルクの町並みのいたるところに
ナチの鍵十字(ハーゲンクロイツ)の旗がゆらめき、
いさましく大行進しているナチの白黒映像。すごすぎ。
恐怖とか怒りとか憎悪とか、そういう感情じゃない。
とにかくその時代の熱狂ぶりがすごくて、圧倒されてしまう。
決していい時代なんて思わないけれど、
少なくともこの国民の熱狂振りは、当時このナチが未来や希望を与えてくれるだろうと期待していたんだなぁと思う。
もちろんその影でユダヤ人のあの歴史があるというのがまた悲しく・・・
そしてヒトラーの演説の仕方、声。
あの力強さはすごい。上に立つリーダーとして、
あそこまで怒ったように力強く言い切れるそのパワーはなんなんだろうとも思う。
すごいけどある意味ビョーキっぽくないかと思ったけれど。。。。
あんなに歯切れよく話したら、そりゃドイツ語はごつく聞こえるよねw
この博物館、ぜんぜん行く気がなかった私でも
異様な空気と見ごたえたっぷりな展示が見事で、行ってよかったと素直に思う。リバプールのビートルズ博物館並みにボリューミーですごい。
マイスタージンガーだけの町じゃないんだなぁ。。。ニュルンベルクは。
この博物館をみたあとに街に出るとまた違った感情が芽生える。
そして街へ行ったとさ。
続く!