木の上の軍隊   こまつ座   5・16(木)ソワレ | 茶トラ

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原案 井上ひさし

作  蓬莱竜太

演出 栗山民也

 

再演から3年たっての再々演です。

キャストは再演のときと同じで、上官に山西惇さん、新兵に松下 洸平さん、語る女に普天間かおりさん、ヴィオラ(演奏)に有働皆美さんでした。

 

再演の時にガジュマルの木の大きさに驚いたのですが、今回はより大きく感じました。きっと回を重ねるごとに役者さんたちの気を吸い、汗を吸い、物語を吸って、成長し続けていたのではないか・・・なんて、思いました。

3年たっても沖縄の問題は一向に解決する気配もないし、どんどん溝は大きくなり、複雑になっているように思います。

 

戦争が終ったことも知らずに木の上で戦い続けた二人・・・威張っているがかなりの臆病者で、使命感など微塵も無い上官と死にゆく幼馴染と破壊されていく故郷の島を目の前に無力で、無垢で、息をするようにふるさとを守りたいと思っている新兵・・・・上官の殺そうと思ったことはあっても理解しようと思ったことは無いという、本心が妙にむなしい。新兵の一生懸命が、とてもせつない。

新兵の「守られているものに怯え、怯えながらすがり、すがりながら憎み、憎みながら信じる」、この言葉がすごく印象に残りました。

再演を観た後に意識して沖縄を見ることが増え、沖縄の現在を扱った舞台を観る機会もあり、沖縄の抱える矛盾もほんの少しですが知ることが出来ました。前回はスルーしてしまっていたこの言葉が、ぐさりと胸に突き刺さりました。

これは沖縄のことだけではなくて、現在の日本の政府に対して、私が持っている気持ちだとも思いました。

 

普天間かおりさんが、前回よりも透明感を増していました。

彼女はガジュマルの精霊であり、島に吹く風であり、島に生きる物たちの守り神のようでした。哀しく、美しい歌声は、言葉を持たないものの哀しみと優しさをたたえている様でもありました。

ヴィオラの深く美しい音と呼応して、島が泣いていました。

 

ラスト、軍用機の轟音に琉歌がかき消され、しばらく続く暗やみは終わりの見えない怖さを覚えました。

 

井上ひさしさんが、井上麻矢さんに自分の芝居は「再演毎に時代をはらんで、新しく再度新作のようによみがえる」とおっしゃったそうです。

この舞台もそんな舞台の一つだと思いました。

井上ひさしさんの遺志をしっかりと受け継がれた蓬莱竜太さんの脚本は、素晴らしいです!!!

 

素晴らしい舞台を、ありがとうございました。