3つ物語からなる舞台でした。
未来から過去へとさかのぼる舞台、全然違う物語なのですが、同じ人物が脇に登場していたりして、物語は違うけど繋がり持っているのがとても面白いです。
#1「箱詰め男」2036年
脳科学者だった男はアルツハイマーとなり、それを機に自分を使ってマインドアップロードを試みる。身体を捨て、意識、精神行動をコンピューターに詰め込み彼は箱になった・・・。立派な伝統的な木目込みの箱に入った男・・・最初は途惑っていた家族もだんだんと慣れてくる。
箱詰め男の安井順平さんは、声だけの出演です。
機械音のような体温の感じないしゃべり方と反応に笑いが起きます。
人間一人が死ぬことは図書館が一つなくなると同じこと言いますが、知識と意識だけを持って永遠に生きることは果たして幸せなのか・・・。
嗅覚を与えられ、素朴な人としての営みを思い出した時・・・・彼の中に起こる葛藤・・・・安井さんの声がどんどんと変化していきます。
そして、周りの人間の心境にも変化が出てきます。
未来、こういうことが実際に行われるかもしれません。人間が、人間として生きることを止める時が。
生きると言うことには、どんな意味があるのか・・・そんなことを考えました。
私は家族や友達が死んで、自分だけ生きていたいとは思わないな。
それにしても伝統と最先端の技術の融合、クールジャパンですね笑。
#2「ミッション」2006年
抑えきれない衝動と取り付かれたように自分に課したミッションを遂行する男・・・彼は何を見ているんだろうか。
焦点の定まらない瞳で、バランスの欠いた心の若者大窪人衛くんの笑顔は、どこか空虚で、危なっかしい。母を亡くした時のトラウマ、母の死を受け入れることの出来なかった幼い心をそのまま持っているようでした。
彼の悲しい心を誰か抱きしめてくれたらよかったのに・・・・。心がずっと病気のままの彼は、どう生きていけばいいんだろう。
衝動と思い込みで、他人を巻き込んで行くかもしれない。
#3「あやつり人形」2001年
就職活動に精を出す妹と家族思いの優しい兄、そして、二人の子を夫亡き後育て上げた母・・・その母のがんが再発した。
副作用を伴うが最新の治療を受けることにした。だけど、母はそれを望んではいなかった。死を迎えるまで、今迄の生活を続けたい。
強く反対する兄だが、妹は母の気持を理解する。自分の人生を、自分のために命の時間を使いたい、誰も避けることが出来ない死が来る日まで、病気と上手く付き合いたい。そんな母を見守りたい!と強く主張した。
付き合っているボーイフレンドの過剰なまでの干渉、兄の彼女を心配しての干渉にも、自分たちの不安を押し付けないで欲しい!と、彼女は一つ大人になっていく。
彼女の言葉に、自分の子育てを振り返りました・・・・子どもたちの行動が理解の範疇を超えたときに、私は見守る!と決めた。自分で決めて、自分で失敗して、自分で立ち直り、もがいて欲しいと思ったことを思い出しました。親に出来ることは、そんなことです、疲れた時に休みに来ればいいのです。もうね、枠にはまらなくて、二人ともすごかったですから(;^_^A
ラストに若い頃に無くなったお父さんの安井さんがとても温かな目で彼らを見守っていたのが、とても和みました。
人間は常に死を意識して生きていて、その不安を商売にしてあおって金儲けする人たち・・・・死って、そんなに恐ろしいものなのでしょうか?
私はずっとそれを思っています。死はまた始まりかもしれない、ひょっとして死の向こうに新しい誕生があるのでは・・・なんてのも思ってしまうんです。死があるから、生がある・・・。死ぬまで生きるしかないですね。
未来から、過去に戻っていく物語編成で、死は素朴なものであったのに、科学という人間の知恵でどんどん複雑になっていくのでは、なんて思いました、
潔く生きて、潔く死にたい。この舞台を観て、なお更そう思いました。
今回もとても楽しませていただきました。
ありがとうございました。
