程よい眠気と足先の感触。
恋人はあまり言葉を口にしないけれど、
眠っている時、離れていても足先だけは、私の足先と触れている。

足の指で私の足先をもぞもぞとする。
私も離れないようにもぞもぞとする。

お互いはほとんど眠っていて、
だけれど足先をもぞもぞとさせて、
私は彼が隣にいる事を目を開けずに確認する事が出来る。
そういう時間が大好きだ。
セクシャルではない時間。

私たちの時間は、たいていそういう事で出来ている。
ぎゅっとして眠ったり、背中を向けて眠ったり、
どちらかが布団に潜り込んでいたり、
起きてしまっても眠っている相手を起こさないように時間をやり過ごしたり、
他愛のない話をしたり、仕事の話をそんなに詳しくなく話したり、
ご飯を食べたり、少しお酒を飲んだり、
近所をお店開拓と称して歩いたり。

私たちはいつも眠っている。
眠るために一緒にいるのではないかと思ってしまうくらいだけれど、
彼の仕事がたいてい遅いため、仕方がない。

どこかに1日中出かけるなんて、数えるほど。

だけど、1日中出かける事をメインにしてしまったら、
足先はきっと遠くなる。

程よい眠り。
あたたかな布団。
足先の感触。
私には、それのほうが、大事。

寝起きのその人に、
コップ1杯の飲み物を差し出す方が、
今の私には、とても大切。