退屈な毎日の始まりは、夏休み。
 私の小さな頃の記憶には、そんなコトしかなくて、
 今でもふと思い出すと、哀しくなったりする、
 どこにも行けなくて、でも、心は果てしなく自由だった気がした。
 部屋の中で音楽を聴いて、本を読んで、手紙を書いた。
 夏は、どこか開放的だけど、そんな夏が私は嫌い。
 
 やっぱり夏の記憶はいつも哀しい。
 
 特に、夕日が差す部屋で、ずっと一人でFMを聴いていた15歳の夏。
 訳もなく泣いたりもした。
 
 私はずっと心のどこかで、一人だった気がする。
 もちろん家族は大好きだし、一緒にいたけど、
 居る場所を探していたような。  もっともっと小さな頃は、
 無邪気で、そんなことを考えたりしないで、
 楽だったのになぁ。
 
 どうして、こうなっちゃったんだろう。
 
 きっと夏のせい。
 8月のせい。
 
 今はもう、訳もなく泣いたりなんてしない。
 私にはもう、夏休みは来ないから。