◇問い直す「選挙の常識」--組織票・地盤なし、「素人」戦術見て
「お久しぶりです。変わらないですね」
聞き慣れた声がした。11月27日午後、神戸市中央区のホテル。民主党県連の定期大会が休憩に入り、エレベーターホール前で休んでいると、その声の主が近づいてきた。
三橋真記氏(33)。7月11日に投開票された第22回参院選の兵庫選挙区(改選数2)で、民主党の2人目の候補者として立候補。結果は末松信介氏 (55)=自民=と水岡俊一氏(54)=民主=の現職2人に及ばず、4番目の得票順で落選した。民主党担当だった私は、三橋氏が当選する可能性を探ろう と、選挙期間前から選挙事務所や街頭での「辻立ち」などに足を運び続けた。
地盤や組織票に頼れない三橋氏の選挙戦術は、無党派層を意識した「素人っぽさ」の残るものだった。
ホームページやブログ、簡易ブログ「ツイッター」を駆使する、ガラス張りの特注の選挙カーを走らせる、オリジナルの応援歌を作る--。ただ、今年3月ま でわずか3年間とはいえ、政治部で永田町の泥沼に触れてきた私には、「自分で考えたんですよ」とオリジナルのキャラクターを紹介する三橋氏の笑顔に、素人 の純粋さ以上の甘さを感じずにはいられなかった。
選挙戦も中盤に入ったころ、選挙事務所を訪れた私に、三橋氏はぽつりと漏らした。
「選挙ってつらいものなんですね」
何気ない言葉かもしれない。当たり前と言えば当たり前であろうし、甘いと言えば甘いかもしれない。しかし、私ははっとした。
新人であれ誰であれ、選挙がつらくなることは、民主主義の根幹を揺るがすことにならないのか。選挙を楽にするため、永田町の住民は選挙資金集めにいそしみ、党派の離合集散を繰り返し、それが誤った「選挙の常識」を植え付け、私もそれに毒されているのではないのか--。
中央政界は今日も「政治とカネ」や政局含みの影がうごめき、失望する国民の政治離れが進んでいる。それでも、三橋氏は冒頭の言葉にこう続けた。
「また活動を始めます。あきらめていません」【石川貴教】
◇
県内は今年もさまざまなニュースがあった。現場で取材を重ねた記者がノートを読み返し、記憶に残った話題を改めて取り上げてみた。
「お久しぶりです。変わらないですね」
聞き慣れた声がした。11月27日午後、神戸市中央区のホテル。民主党県連の定期大会が休憩に入り、エレベーターホール前で休んでいると、その声の主が近づいてきた。
三橋真記氏(33)。7月11日に投開票された第22回参院選の兵庫選挙区(改選数2)で、民主党の2人目の候補者として立候補。結果は末松信介氏 (55)=自民=と水岡俊一氏(54)=民主=の現職2人に及ばず、4番目の得票順で落選した。民主党担当だった私は、三橋氏が当選する可能性を探ろう と、選挙期間前から選挙事務所や街頭での「辻立ち」などに足を運び続けた。
地盤や組織票に頼れない三橋氏の選挙戦術は、無党派層を意識した「素人っぽさ」の残るものだった。
ホームページやブログ、簡易ブログ「ツイッター」を駆使する、ガラス張りの特注の選挙カーを走らせる、オリジナルの応援歌を作る--。ただ、今年3月ま でわずか3年間とはいえ、政治部で永田町の泥沼に触れてきた私には、「自分で考えたんですよ」とオリジナルのキャラクターを紹介する三橋氏の笑顔に、素人 の純粋さ以上の甘さを感じずにはいられなかった。
選挙戦も中盤に入ったころ、選挙事務所を訪れた私に、三橋氏はぽつりと漏らした。
「選挙ってつらいものなんですね」
何気ない言葉かもしれない。当たり前と言えば当たり前であろうし、甘いと言えば甘いかもしれない。しかし、私ははっとした。
新人であれ誰であれ、選挙がつらくなることは、民主主義の根幹を揺るがすことにならないのか。選挙を楽にするため、永田町の住民は選挙資金集めにいそしみ、党派の離合集散を繰り返し、それが誤った「選挙の常識」を植え付け、私もそれに毒されているのではないのか--。
中央政界は今日も「政治とカネ」や政局含みの影がうごめき、失望する国民の政治離れが進んでいる。それでも、三橋氏は冒頭の言葉にこう続けた。
「また活動を始めます。あきらめていません」【石川貴教】
◇
県内は今年もさまざまなニュースがあった。現場で取材を重ねた記者がノートを読み返し、記憶に残った話題を改めて取り上げてみた。