一時 人は何かしらの目標をもって突き進む。
現在の私はまさにそれ。
ただそれは、自分が思い描く素敵な未来のために、
ある人を支えてゆくために必要な目標。
もう、自分だけのための目標ではない。
自分さえよければ…そんな虚しい目標ではないのだ。
年老いた紳士が若い夫婦に呟く。
「苦労は絶対にしておいたほうがいいよ。
60歳までのたくさんの苦労が僕の今の笑顔だ…」
ドキっとした。
あまりに素敵な微笑み…
そう呟いた彼の背中がとてもとても、とても優しく、
そして全てを包むような温かさに溢れていた。
そこだ。
私の理想。
目標を持つことの大切さ、
ひたむきさを背中で教えてくれたあの人は
今はもう変わってしまっていた。
悲しくて悲しくて涙が溢れそうだった。
久しぶりに会って過ごす、
その単純な空間に一緒にいられないほど
悲しさがこみあげてきた。
息がつまりそうだった。
涙を見せないためにその空間から逃れるしかなかった。
「あんたはあんたでいいんだよ。」
この台詞だけが長年の強みだった。
この台詞だけを頼りに会う決意をした。
ただ…
今のあの人はきっと、
「自分が自分であること」 「自分が純粋に望むこと」が
どうしても叶えられないところにいる。
苦しみを素直に苦しみと認識するにはつらすぎる現実を前に、
何とか明るく明るく、楽しく振る舞おうとしている。
「痛々しい」姿だった。
「あんたは頑張ってるよ!!大丈夫だよ!」
私に叩きかけた言葉だったかもしれない。
しかし。
全ての言葉が、あの人自身の心の悲鳴に聴こえて
居たたまれなかった。
悔しいけれど、
今の私にはあの人は救えない。
私はあの人の強さ、ひたむきさを
ただたただ見習って、まっすぐ今まで進んできた。
未完成にみえると言われても、今の私は完成体。
そう言い切れる実態が明確に存在する。
守らないといけないものがたくさんできた。
大切にしなければいけない仲間がたくさんできた。
私にとっての大切な居場所が
今ここにどんどん、どんどん広がりをみせてゆく。
これから出会うべきたくさんの人たちに
恥じることのない真摯な姿勢を保つために
やるべきことがたくさんたくさん待ち受けている。
私を救ってくれたあの人が唯一の目標だっただけに
私を救ってくれたあの人が迷子にみえたその瞬間
たくさんの言葉が静かに消失した。
たくさんの言葉を用意してたはずなのに
半分も語れずにそれらが消えてしまった。
方法がわからない。
私は闘ってきた。
自分の「芯」をしっかりつくるために、
どんな環境でも、どんな待遇でも
ただ受け入れて、いつも笑顔で過ごし闊歩してきた。
自分が変われば、まわりも変わる。
こんなバカみたいな信念掲げて…
でも本当に変わった。
今の私はその時の賜物。
今が一番楽な生き方。
話そうと思うその背景に
話したくない意地もある。
けれども微妙なところで絶妙なバランスをとってしまっている以上
落ち着いた会話など成立しない。
人は一人では生きられない。
支え合って支え合って
励まし合って励まし合って
寄りそって寄りそって
静かに静かに困難を乗り越えてゆく。
振り返りはしなくていい。
ただ。
思いだすことがあるのなら
10代の時に備えていたあの強固な「芯」を
あの人にもう一度見つけてほしい。
私をひっぱったあの強固な信念を。
新聞の切り抜き、マザーテレサ、ヘレンケラー…
逆境で生き抜く強さを教えてくれたあの頑固さを
感覚と豪語するなら、私にはあの日のあなたの単純な頑固さが
輝かしい感覚として今も記憶に残っている。