屋台 夏の風物詩 | 考え中

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基本的に感情論…本能論。見たもの感じたもの触れたものに関する感想。
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夏祭りの屋台で外せないのは? ブログネタ:夏祭りの屋台で外せないのは? 参加中
本文はここから

夏祭りの屋台。
外せないのはやっぱり賑わう人でしょ!!
たくさんの人の熱気と人情!!
そして、どうしても気付かれてしまう
初々しいデート姿を披露する若者。

その姿に華を添えるべく存在するのが
彼女が持つリンゴ飴と彼が背中にこっそりさすひょっとこのお面。

さて、その前に。

私はテキ屋のアルバイトをさせてもらったことがある。
初めてだった。
今思えば最高の経験をさせてもらったと思う。
短い間でも私を雇ってくれた二人の夫婦に心から感謝したい。


屋台の設営のため、早朝の集合。
到着した瞬間から荷物をおろし、行動開始!!

不慣れな私は、
昔ながらの権威満ち溢れるお父さんのような迫力のある
おじさんに、何度も勇ましい檄を飛ばされ、
滴る汗は暑さのせいか、冷や汗かをどこか勘違いしながら、
わからないなりに必死に後をついてゆく。

ヘマをすると、広場中に響く怒号。
(ひぃーーーーっ!!ごめんなさい!!)
それが終わると次はその奥さんとお仕事。
下ごしらえの準備だ。
奥さんと言えど、優しさもありながら
おじさんに負けないほどの勢いの良さ!!

何でも手際よく効率よくこなすのが鉄則で、
始めてわずかな時間で私は屋台の舞台裏の
凄まじさを肌で感じた。

買う立場だった時はそんなこと想像さえしなかった。

全てが初めてで、緊張の中、作業についてゆくのが
精一杯で目まぐるしく時間が過ぎていった。

お昼近くになった頃、
ほんの一瞬の余裕があり、周りを見渡せた。

向かいの店で、自分と同じくらいの男の人が
射的の景品を並べているのが見えた。
精悍な彼の顔に微笑みを見つけたような気がした。

突然、この舞台裏にいる自分にとても興奮しだした。


もともと明るい場所が大好きで、
人と関わるのが大好きだったにも関わらず、
一時的に人に飢えていた私は、ほんの少しだが
確実に血が滾るのを感じた。


「よし!商売だ!気合入れてやれ!」
力強く肩をたたかれ、おじさんの大好物だと言う
ケンタッキーフライドチキンを手渡された。

スタミナをつけろというおじさんの心遣いだった。
強面と言えど、こんな私に大好物をわけて頂けると
いうその優しさに、感激して思わずぶっ倒れそうになる。

腹ごしらえをして、午後になると
チラホラと人が見え始めた。

少しずつ賑わいを見せる。

ここで本題!!!!
テーマに戻るとする。

ただ、私は
屋台側からみた、「屋台に欠かせないもの」を
ここに書き連ねてみたい。

一度でも、あの舞台裏の凄まじさを味わったからには
一客としての見方などできるはずもない。

ではスタート。

屋台に欠かせないもの…
そりゃ、「賑わい」でしょ!!
賑わいは人が織りなす光景でしょ…って流れで…

最も欠かせないものはと言えば…

初々しいデート姿の若者ラブラブ


これをこの立場で見られると
なぜか急におせっかいおばさんのような
興奮が押し寄せる。

普段そんなタイプでもないのだが
これが私の売り子魂!!

高校生くらいのカップルが
「この日が初めてのデートです」という雰囲気を
どうにもこうにも隠しきれない風貌で
ふらっと店の前にたった。

「いらっしゃい!!」なんて、第一声!
度胸試しも兼ねて、おじさんの言う「気合」なるものを
堂々とアピールしてみせた。

会話がまだ続かなそうな二人に
おせっかい魂が噴き出しそうになる。

(まだ最初だ、落ち着け)

自分に言い聞かせ、彼らが楽しく選んでいる空気を
壊さないように、どんどんフルーツ飴の下準備を
知らぬ顔で気持ちを抑えながらやっていた。

でも、よく見ると
迷っているようだった。

(優柔不断はいけないぞ!!)

私は「気合」が入ると別人になれる。

生意気にも肩にタオルをひっかけて
ベテランさながらに手際を良く見せ
隙をみて一気にたたみかけた。

「そりゃ迷うわー。こんな種類あるもんね。
ま、どれもイケるんだけどね。

で、お兄ちゃんは彼女に、どれが似あうと思う?」

…なんて、髪飾りでも買いにきたお客様かのような、
この場では少々不可解な質問を、
「どうよ?」とばかりに浴びせてみた。

迷いを更に広げてはいけないと
すかさず私は、彼女にもちょっとした提案をした。

「あ!でも、嫌いなものあったら嫌いって先に言ってあげてね。
我慢して食べるのもいやでしょ??
自分のことちゃんと伝えるものお付き合い長くする秘訣でもあるんだからね!!」

(あー。バカバカ。なんて偉そうな私。何様よ、まったく)

彼は彼女を、彼女は彼を見て目が合ったことに
二人照れ笑いをした。


いくつか彼女が苦手だと提示したものを除いて
彼が選んだのかリンゴ飴。

自己満足の塊のおせっかい魂が更に問いかけた。
「お姉ちゃんいいのかい?リンゴ好きかい?」
彼女が笑顔で頷いた。

私まで赤面しそうな初々しい素敵な笑顔だった。

更なるおせっかい魂が彼に詰め寄った。

「で?リンゴが似合うと思った理由は何だい?」
彼は照れてしまった。でもこう言った。

「…浴衣姿がすごくかわいいと思ったから」

ちょっと質問とは違う答えのような気がしたけれど
正直さに良しとした。

彼女の微笑みでそう思う。
彼の思いは伝わった。

(いいことしたなぁ。私)

自分のバカさにあきれながら、
自己満足に浸るラブラブ!

こっそりリンゴ飴に小さなリボンをつけてあげた。
少しでも長くいられるようにとの、何様でもない私の
せめてもの祈願。

さっき、隣のお店のギャルにもらった
袋についていたものだった。

彼女に手渡すとこれまた弾けそうな笑顔で
「ありがとう!!」と言った。

お代は彼から受け取った。

「お姉ちゃん、お礼は彼に言いなさいね。
どんな時でもお礼の気持ちは大事だよ。」

「○○くん、ありがとう」  彼は顔が赤くなった。

ニヤける彼にこう言った。

「今日は彼女と楽しくね!何かあったら守ってあげるんだぞ!」
「はい!」

彼らは仲良く背を向けて去っていった。

自分の台詞に私も彼以上に赤面していたあせる

ちょっとした高揚感を振り払うように
下準備に徹することにした。

しばらく時間が経って、
何だかヨーヨーが子供が集まってきて大変だから
景気よくやってきな!!と言われ、
フルーツ飴の売り場から移動することになった。

(あぁ。ヨーヨーはアニメの絵が描いてあるからねぇ。)

「「プシュー」っと空気を入れて輪ゴムをつけて木の壁に吊るし、
少し見栄えがいいように陳列する。

何人もの集団できた小学生が小さな店の周りに一気に群がった。

ワーワーギャーギャー言いながら楽しんでいる。
何とかレンジャーだか何だか知らないが
彼らを魅了するヨーヨーをどんどんさばいた。
「人にぶつけるなよ!!」なんてまたおせっかいを言いながら…。

こんな熱気にも何だか懐かしい夏を感じた。

一通りやんちゃくれ集団をさばききった後、
一人の小さい女の子がちょこんと
私の目の前で座った。

「これやっていい?」
ヨーヨーすくいなので、「すくいたい」と言うのだ。
「もちろん!!ほしいのがあるんだね?
いいよ。じゃ○○円だよ!」

「…これしかないの」
その子は悲しそうな顔で告げた。

ヨーヨーと言えど、その時はビニールヨーヨーだった。
ディズニーのキャラクターもあれば、これまた女子にウケそうな
かわいいアニメのキャラクターもたくさんあった。

一回すくうのに確か150円か200円くらいだったと思うけれど
その子は100円しかなかった気がする。
明らかにいくらか足りないのだ。

私は瞬間、少し悩んだ。
急激にいろいろ考えた。
周りに誰もいないし、ちょっと私のポケットマネーから足せばこの子の思い出ができる。

でもこの子がもし、そのことを他の友達に悪気なく言って、
誰かがウソでもついて、お金なくてもできるんじゃないのかって
言い張られたりする状況になったら、おじさんおばさんに迷惑がかかる。
でも、おじさんおばさんに相談しに行くっていうとたぶんこの子は
あきらめて帰ってしまうだろう…

(よし!!)

「誰にも言っちゃダメよ。お姉ちゃん、ちょっとお金足すから
一回だけ頑張ってとろっか?」

「やった!!」
彼女の顔が明るくなった。

100円を受け取った。
握りしめてきたのかすごく温かい100円だった。
楽しそうにほしいキャラクターを狙ってすくおうとする彼女の
いじらしさに涙がでた。

(うんうん。頑張れ!いいのとって自慢しといで)

彼女が小さな手で必死に狙っているヨーヨーを
すくい上げる瞬間をしっかり見守った。

せっかく頑張っているのに、最後の最後で
落とさせてはいけないと思ったからだ。

「みて!!」
彼女は叫んだ。

瞬間的に救いあがったヨーヨーを手に受けた。

「すごいすごい!!やったじゃん!すごいねー!!」

彼女も得意満面だ。

水滴を拭き、バーをつけながらもう一度念を押した。
「お金のことはお友達に言っちゃダメだよ。二人の秘密ね」

「うん!!ありがとう!!」

そう言って彼女はとったばかりのヨーヨーをブンブンさせながら
走って帰っていった。

いろんな出逢いがあり、いろんな光景があり、
ここにいる人達はきっとこれからこんなことが
いい思い出になるんだろう…と
しみじみ思った。

気がつくと空が真っ暗だった。
夜になっちまったか…。

売れて空白がでた場所にヨーヨーを補充する。
空気を入れて輪ゴムをつけて…
時折、親子づれやお婆ちゃんとお孫さん…てな感じで
ちょこちょこお店に出入りがあった。

あの子はなぜ一人で来たんだろう…と
ふと寂しくなった。

しばらくして、さっきの彼女が顔をだした。
「お姉ちゃん!!!」
「おっ!!どした?」
「はい!これ!!」

彼女は足りない分のお金を握りしめていた。
聞くと、あれからすぐに家に帰ってお母さんに
話したのだと言う。

「すみませんでした」
彼女のお母さんが少し後ろから走ってくるのがみえた。
私は何となくお店の前まで出迎えてしまった。

「いえいえ。こちらこそ、何か…」どう言っていいかわからなかった。
「すごく嬉しそうにしてたから思わず…」と、本音が出てしまった。

お母さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

「小さな小さな借」を返した彼女はさっきより
とても晴れやかな顔になっていた。

彼女も彼女なりに思いがあったのだろう。

お母さんが彼女の手をとり、私にもう一度頭を下げた。

そして最後にこう言って去っていった。

「お心遣い、ありがとうございました」

何だか心がふっと温まるのを感じた。
彼女が渡した残りのお金、最初の時よりも
温かくなっていた。

おせっかい魂に少し優しさが備わった。

おばさんが遠くから走ってきた!
「飴!!飴が忙しいのよ!来て!!」
「はい!!今行きますー!!」

(よし!!また戻るか! 優しさ増量中のお姉さんが
おせっかい魂でトコトン売りさばいてあげるわよ!!)

いい出逢い、いい情緒あふれる屋台の空気!


もう何年も前の話だが屋台の前を通ると
必ず思いだす。

頑固一徹&仕事には絶対手を抜かない厳格なおじさんに
さっきのあの子の話をしてみた。

「いい根性持ってんじゃねーかおまえ!泣ける話じゃねーか!
それが夏の思い出ってもんだ!よくやった!!」


よっ!!これぞ屋台節!!

これぞ夏の風物詩ってもんじゃねーか!!