脳のなかの万華鏡 | フランス語学習ブログ
脳のなかの万華鏡---「共感覚」のめくるめく世界/リチャード・E・サイトウィック

¥2,940
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前にも少し書いたことがありますが、私はポリモーダルの共感覚を持っているので、この関連書は手に入る限り必ず読んでいます。

インターネットの時代になって、共感覚が一般の人にもかなり知られるようになりました。
それでもまだまだオカルトだとか超能力、あるいは病気みたいに思う人が多くて、仲の良い友達に話しても理解されないどころか、露骨にその話を打ち切ろうとされますしょぼん

この感覚を持っていない人にわかってもらうのは難しいから、こういう本が普及することによって偏見がなくなることを期待しています。
でも、この本は共感覚の権威が著した、現代の知識の総覧であり最新の研究成果報告、といった趣で、研究者向けに専門用語を駆使して詳しく書かれてあるので、当の共感覚者本人には実感としてよくわかるのですが、相変わらず非共感覚者の人には全然意味がわからないだろうなと思いました(涙)

たとえば現代の言葉で「共感覚」を定義すると、次のようになります。

引き金となる刺激によって、引き金とは異なる物理的属性ないしは概念的属性の知覚が、自動的、不随意的に、感情をのせて、意識にのぼるかたちで誘発される、遺伝的要素をもつ状態

これ、読んだだけでわかる人がいたら、会ってみたいよ~ん叫び

とはいえ、共感覚当事者には「わかるわかる」「あるある」状態が本のページの至るところ頻繁にあって、大変面白く読み応えがありました。
また前著よりさらに研究が進み、共感覚の種類がより細分化され、多くのサンプル被験者を得て、深い成果と新しい報告が出ていることも嬉しいと思います。

たまに、「え、違うけどなあ」という部分もありましたが。

個人的には、

●知覚→共感覚→メタファー→言語
(知覚上の類似性→共感覚的な等価性→メタファー的な同一性→抽象言語)

知覚の類似性が共感覚的な等価性に移行し、次にはそれがメタファー的同一性になり、それがまとまって言語の抽象概念になる認知の連続体である

というくだりが一番の新発見でした。

一切の偏見を交えない純粋な科学者のフィルターを通すと、共感覚とはそういう流れの中に位置づけられるんだと納得しました。

また今回、数字列形や数字の擬人化について詳しく触れていたのも嬉しい。

作曲家のスクリャービンが、中途半端な共感覚本では共感覚者だと定義されているけど、サイトウィック博士によれば、彼は単に共感覚を芸術の知的な発想として用いているだけだとバッサリ断言しているのも気持ちよかったです。

わけのわからない感想でごめんなさい。
この本は大量にメモを取りながら読みました。またしばらくしたらゆっくり読み直したいです。