皆さん、ご無沙汰しちょってゴメンね、ひとりっ子になったバージュです。私ね、戌年だから今年は年女やっちゃが。小学6年生になったとよ。
今日、4月21日は、ノアゴンお兄ちゃんのお誕生日。姿は見えなくなったけれど、16歳のお祝いの記事をchat-vertお母さんが書くげなよ。

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すっかりご無沙汰してしまいスミマセン。
ノアゴンの闘病、そして旅立ちに沢山の愛あるコメントを頂き本当にありがとうございました。ノアゴンを愛して下さったこと、心から感謝します。
初めてのひとりっ子を満喫中のバージュ(笑)、そして私たちも元気に過ごしていましたが、このブログの主役だったノアゴンの姿がなくなり、どうも筆が進まぬまま春を迎えました。ノアゴンは本当に偉大で特別で、私たちを涙に暮れさせる事もなく、悲しみに沈む事もさせない、信じられないほどとても優しい去り方をしましたが、やはり何かが抜けてしまったような、1つの時代が終わったような感覚は拭えません。取り分け、毎年一緒に年越しに付き合ってくれていたノアゴンの居ない新年は驚くほど静かでした。バージュとは違い、ノアゴンはちっともお喋りではなかったのに不思議です。







生徒画伯から私へのプレゼント


そんな中でも、毎日のレッスン、生徒たちのコンクールに発表会、殆どフランス語しか話せないハーフちゃんのフランスのコンセルヴァトワール受験(まさか宮崎でフランス語のピアノレッスンをしようと思いませんでしたが、フランス帰国後、10倍近い競争率の中で見事に最年少合格)、









自分のコンサートや(会場満席の大盛況、沢山の花束やお菓子まで頂きありがとうございました)、









九州場所後の大相撲宮崎巡業観戦や(以前にも書いたように、私は祖父の代から筋金入りの相撲好きですが、生での観戦は初だった為、興奮でカメラがブレブレ(笑)、しかもレッスンがあるから行けないと諦めていたのに、当日になって時間が出来、これは~!と慌てて当日券で入ったので、カメラ充電も不十分、サイン色紙やペンも無しで右往左往し、お気に入り力士に握手して貰うので精一杯)、




そんなこんなで書きたい事は盛り沢山な日々でした。うちの子記念日当日にノアゴンが旅立ってから7ヶ月、皆さんのブログは殆ど欠かさず拝読していたのですが、その間に私のブログも11年目に突入しました。もはや家族のように長いお付き合いになった事にすっかり安心していたら、そう言うお友達の何人かがブログを卒業されてしまったり、冬眠に入られたりと言う寂しさも味わいました。かく言う私も、長らくブログをサボり過ぎて、安否確認メッセージを頂いたり、久々にコメントなんぞ書き込んだら「本当にchat-vertさんですか!?」と驚かれてしまう始末。ご心配お掛けしたままの7ヶ月と言う時間、反省です。








バージュはと言えば、そんな私たちとはまた違い、突然、自分だけに全ての視線と愛情が集中するひとりっ子生活に最初こそ戸惑っていましたが、今では甘えん坊度をより一層アップさせ、超天真爛漫なお子ちゃま……年女なのに赤ちゃん返りしている感じです。愛情を独り占めで喜んでいるかも~~!まぁ、薄情と言うよりは、正直で猫らしい、屈託のないバージュらしいです。







去年の今頃のノアゴン



さてさて、こちらもずいぶん久しぶりになってしまった月末恒例お薦めクラシックコーナー。
これからは、毎月は無理でも、ワンシーズンに1度ぐらいは書けたらと思います。
今月は、ノアゴンの姿がなくなり、なんとなく脱け殻のようにぼんやりし勝ちだった時、偶然YouTubeで見付け、生命の躍動を楽しく伝え、洒落ていてサラッとしているのに、何かほのぼのとした温かさも感じさせてくれた我が師 安川加壽子先生の演奏をご紹介します。


◆イベール:物語より「小さな白いロバ」
(P:草間(安川)加壽子)



ジャック・イベールの曲をご紹介するのは恐らく初めてではないかと思います。フランス人作曲家で、プーランクと同じ時代に、プーランクと同じくパリに生まれパリに没した生粋のパリジャンのイベール。文化的にも経済的にも豊かな親族だった為(スペインを代表する作曲家ファリャとは従兄弟)、子供の頃から多くの芸術家や作品に触れて育ち、自身も作曲だけでなく演劇の勉強もしたせいでしょうか、非常に愉悦感のある表情豊かな作品を残しています。若き日に父親の事業が傾いたり、晩年には娘を亡くしたりしてはいますが、他の多くの作曲家と比べると破天荒でも悲劇的でもなく、アカデミックな楽壇でも成功し、名声も地位も得て安定した人生を送ったと言えるでしょう。

この「小さな白いロバ」は、物語と言う曲集の中の第2曲。全10曲から成る「物語」は、イベールが欧州各国を旅行した際の思い出や印象に残った場面を曲にした小品集で、情感・情景を豊かに表した作品が並んでいます。短い曲ばかりながら、いずれも魅力と個性を持つ「物語」は、イベールの代表作でもあります。この「小さな白いロバ」も2分ほどの小品ですが、最初から繰り返される左手のスタッカートが常に軽やかに弾み、開始から間もなく入って来る右手のメロディはなんともユーモラスで茶目っ気に溢れています。安川先生がまだ結婚前の旧姓 草間で活動されていた時の録音ですが、素晴らしく爽快に弾んでいます。これほどサラッと速く飛ばしているにも関わらず(以前にも書いたように安川先生はスピード狂(笑))、全く力みも引っ掛かりもなく軽やかに安定しているスタッカートの刻みの粒揃いったら!安川先生の教え子でもある青柳いづみこさんが、安川先生の指を「翼のはえた指」と言ったのもよくわかります。羽のように軽やかで、羽ばたくように自由自在。速く弾いていてもスピードばかりが際立って、テクニック誇示の嫌みなパフォーマンスにならないのはリパッティと同じ。
こう言う曲は、決して「難しくて苦労してます、頑張ってます」と言うところを見せてはならない曲ですが、全くそんな事も気付かせません。軽快でともかく楽しく、聴き終わってもいつまでも頭の中でリフレインします♪
魅力的だけれどテクニカルでもあるので、コンクールの課題に時々なっています。
それにしても、フランスって本当にイイ作曲家が沢山いますね。





「物語」の他の曲も聴いてみたい方はこちら(第7曲「机の下で」と第10曲「バルキス女王の行列」が抜けています)
  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓



◆イベール:物語(P:ジネット・ドワイヤン)
第1曲 金の亀を使う女
第2曲 小さな白いロバ
第3曲 年老いたこじき
第4曲 風変わりな娘
第5曲 悲しみの家で
第6曲 廃墟の宮殿
第8曲 水晶の籠
第9曲 水売りの女

ジネット・ドワイヤンのたおやかな演奏、結構好きなのですが、小さな白いロバは安川先生の方がもっと好き!






◆サン=サーンス:ピアノコンチェルト第5番「エジプト風」
(尾高尚忠指揮/東京交響楽団(現 東京フィルハーモニー)/P:草間(安川)加壽子)



前述の小さな白いロバとカップリング録音されたこちらのサン=サーンスのコンチェルト第5番「エジプト風」(もちろんこちらがメイン)。
いつどこでどんな時に聴いても楽しく、優しく(1楽章)、爽やかで大好きな曲ですが、ななななんと、この曲の世界初録音がこの安川先生の演奏なのだとか!知らなかった~~!サン=サーンスの曲なのに、世界初録音はフランス人ピアニストでもフランスのオーケストラでもないとは。時は1943年、第二次世界対戦の時代の日本で、こんな素晴らしい演奏・録音をしていたなんて二度ビックリです。
今まで、この曲を色々なピアニストで聴いて来て、その最高峰は、安川先生の愛弟子でもある海老彰子さんとN響×ジャン・フルネ指揮(1990年 海老さんはノリノリな30代、この頃のN響は熱気に溢れた名演が多かった)~このN響とのサン=サーンスに聴き惚れて海老さんの追っかけをし始め、しまいにはご自宅でレッスンして頂いたり、渡仏後もお手紙やお電話を頂くまでに~の演奏でした。
が、それをも凌ぐ安川先生の若かりし日の演奏。海老さんほどパワフルな凄みやゴムまりのような弾力性はありませんが、自由活闥さはさすが師弟でよく似ています。優美さと軽やかさは「翼のはえた指」の安川先生ならでは。女性らしいしなやかさや瑞々しさも感じる本当に素敵な演奏。この世界初録音が、私にとっては最高の演奏となりました。
それにしてもやっぱり安川先生、弾くのが速いからいつでも演奏時間が誰よりも短い(笑)












◆サン=サーンス:ピアノコンチェルト第5番
「エジプト風」
(NHK交響楽団/ピエール・デルヴォー指揮 P:田中希代子)

聴き比べに。
安川先生の初期の頃の愛弟子である田中希代子さんとN響の録音を。海老彰子さんにしても田中希代子さんにしても、安川門下生の多くはパリに渡ったワケですが、総じて言えるのはハキハキとした物言いと、「どっこいしょ」と腰をおろすような所が全くなく、常に前へ前へとぐんぐん進む音楽の流れがあることだと思います。ただ、やはりそれぞれに個性があり、この田中希代子さんの演奏はこれでもかと言うほど「しな」を完全排除した無骨な演奏。青柳いづみこさんも、田中希代子さんの演奏を、ぶっきらぼうとさえ言えるほどの骨太でシャープな表現で強烈な印象を残したと書いていらっしゃいますが、男性以上に男性的で、優美な柔らかさを併せ持った安川先生の演奏とは全く違う印象。ともすれば、乱暴とか、無表情になり兼ねないほどなのに、それで押して行く意志の強さとタッチの強さが凄い演奏です。安川先生と聴き比べるとそれがよくわかります。私としては、やっぱりもう少し色彩感や表情の豊かさが欲しくなってしまいますが、ある意味、禁欲的とも言える演奏で貴重な録音だと思います。

イベールとサン=サーンスの歴史的な録音、楽しんで頂けたら幸いです。











相変わらず美人なへんこちゃん。旧chat-vert邸&ガーデンを元気に家と庭を守ってくれています。美し過ぎる管理人(笑)










そのへんこちゃんが見詰める先に、去年の秋、
7年目にして初めて実を生らせたくるみの樹が。この樹の元にはノアゴンが……初のくるみの実はもしやノアゴンマジック!?
ちょうど今の季節は細長い穂のような花を着けています。物置小屋まで生い茂っているのは殆どが木いちご。あと10日もすれば、木いちごの赤で染まるでしょう。ノアゴンも楽しみにしているかもしれません。