前回の記事でご心配をお掛けしたっきり、状況ご報告の更新が出来ぬままで申し訳ありません。沢山の励ましコメントやリブログによる情報収集、同じくガン経験のある猫先輩の皆さんには詳しい治療方法や手術についても教えて頂き本当にありがとうございました。ツラかった記憶を事細かにお話し頂いた方もいらして、非常に参考になり、とても勇気にもなりました。メッセージやお電話、お手紙を下さった方までいらして、本当に嬉しかったです。親戚にも人気のノアゴン、病気の話をすると、ノアゴンの治療費にとお見舞い金を送ってくれた親戚も数人!イイ親戚を持ちました(笑) 確かに、幾つもの検査に診察に薬代にと、かなり掛かるのも事実ですよね。それで元気になるのならイイのですがなかなか……










突然のリンパ腺ガンと余命宣告から1ヶ月ちょっと、先生が「まずは1ヶ月頑張ったら褒めてあげて」とおっしゃった意味がよくわかります。今までは普通に過ぎ去っていた1ヶ月でしたが、今のノアゴンには1ヶ月生きるのが簡単なことではなく、紆余曲折のある1ヶ月でした。一時はもう、1ヶ月は難しいんじゃないかと思うような状態になりましたが、頑張った!
そして今日9月18日、うちの子記念日を迎える事が出来ました。特別なうちの子記念日、この1ヶ月間の経過をご報告を兼ねて書いてみます。


 






当初、ステロイド薬(プレドニゾロン)の効果は絶大で、瞬く間に食欲が回復し、吐く事も殆ど無くなりました。食欲は回復したどころか、未だかつてないほど凄い食欲で、食べ物の鮮度や盛り付けにこだわるグルメなノアゴンが、そんな事お構い無しで「おかわりおかわりおかわり」でガツガツと早食いしました。
よく考えればこれは異常な事ですし、ステロイド薬の副作用の怖さは知っていた筈の私たちでしたが、ついつい目の前の絶大なる効果に糠喜びし、1日に2回のステロイド薬を飲ませ続けました。
ステロイド薬を飲み始めてから10日ほど経った日、ノアゴンはゼンマイが切れたかのように動かなくなり、洗面所の後ろの暗く狭い所に隠れ、うずくまったまま引きこもるようになりました。グッタリとして、1日に何度も吐き、食欲も一気に無くなりました。効果絶大だったステロイドは、リバウンドも急激でした。











ちょうどその翌日が獣医さんに行く日だったので、その事を説明して診て貰うと、ノアゴンは発熱しているせいでダルいのだと言われました。体温を計ると、確かに39度2分の熱がありました(猫の平熱は38度)。これはステロイド薬の副作用で、免疫が落ちているせいとのことで、ステロイドの副作用を抑える錠剤を追加で飲む事になりました。加えて、免疫力を高める事が期待できるアガリスクのサプリメント錠も飲む事になりました。ステロイドの注射も受けました。
1回に飲む錠剤は4錠、それに肝機能を上げる液体薬(これは注射器で飲ませる)、これが1日に2回です。何とか少しでも元気になればと思い、抵抗するノアゴンを押さえ付け、口をこじ開けて飲ませました。でも、ノアゴンはどんどん弱って行き、とうとう食べ物を全く食べなくなりました。薬を飲むのも本当に嫌がり、とてもツラそうな、恨めしそうな顔さえするようになり、しまいには飲んだ錠剤を吐くようになりました。
何度も病院にも連れて行かれ、ノアゴンは疲れきっていました。1日に2回、5種類もの薬を飲ませられ、しょっちゅう病院に行く生活をするぐらいならば、もう生きている意味がない、死んだ方がイイとノアゴンは訴えていたのです。
ようやくその事に気付いた私たちは、きっぱりと飲み薬を全てやめました。病院に引き摺って連れて行く事もやめました。

もっとイイ治療法があるんじゃないか、もっとイイ薬があるんじゃないか、凄腕の手術をする先生がいるんじゃないか……そんな事で頭がいっぱいになっていた私たちは、今ここにいるノアゴンの大切にしたい事を見失っていました。









驚いた事に、飲み薬をやめてから、ノアゴンは全く吐かなくなり、物陰に隠れて引きこもる事もなくなり、目にはノアゴンらしい力が戻って来ました。何より、ぐふぐふと機嫌良く過ごす時間が圧倒的に増えました。飲み薬の袋を取り出しただけで逃げようとしていたノアゴン、頻繁な通院と共に、相当なストレスだったに違いありません。ノアゴンが少しでも良くなればと思ってやっていた事でしたが、逆に無理をさせ、ツラい思いをさせていたなんて本末転倒でした。
パリ時代の幼少期に、ワクチンでアナフィラキシーショックを起こして生死をさ迷って以来、病院とは距離を置き、過度な医療の介入を避けて来たノアゴン、我が家の元々の主義を思い出させられました。
病気の治療と最期の迎え方について改めて考えさせられましたが、これは人間も動物も、それぞれの個性と考え方に合った形があるのだとつくづく思います。









バージュはイイ意味で鈍感、毎日がウキウキ♪
本当にこの子は子供のまま、いつもお茶目にはしゃいでいます。









病んでも毛並み艶々、眼光は鋭い!痩せて背骨が飛び出して来ても、ノアゴンはやっぱりカッコイイのです。
日中の殆どをこの椅子で過ごしているノアゴン、キッチンに人が立つと、調理の様子に再び目を光らせるようになりました。やっぱり、ノアゴンの前世はミシュラン星付きのフレンチのシェフだったのでしょう。食べ物の鮮度や盛り付けにまでこだわるのですから。

初心にかえった私たち、ノアゴンは新鮮な素材のもの、味と食感が濃厚なものが好き……そして口当たりが良く食べやすいもの、栄養価とカロリーが少しでも効率良く摂取できる美味しいものと考え、新鮮な卵を買って来て、黄身を指につけてあげると、数日間、全く何も口にしなくなっていたノアゴンがペロペロと舐めました。固形物を食べるのがしんどくても、市販の猫用スープなどは食べないので、どうしたものかと思っていましたが、指につけた卵の黄身は食べやすかったようです。自力でお皿から食べるのが大変なのもありますが、昔から人の手から食べるのが好きでしたから、嬉しかったのでしょう。








1週間ほど、卵の黄身だけを食べていたノアゴンを見ているうちに、そう言えば昔々、パリで私がクレームブリュレを食べていると横に来て「ちょうだいちょうだい」をしていたのを思い出しました。
ならば!と、宮崎では一二を争うパティスリー(運良く近所)に行き、シュークリームを買って来て、中のクリームを指につけて差し出すと、目を輝かせ、力強く舐めました……そしてなんと、10口以上も!三つ子の魂、百までとはこの事です。しかし、まさか最期の時が迫る中、シュークリームをご所望になるとは~!命のスープと言うのは聞きますが、命のシュークリームなんて~(笑)でも、実にノアゴンらしい!
しかも、その辺のスーパーで売っているような袋入りのシュークリームのクリームは食べません!ちゃんとしたパティスリーの高い乳脂肪で、イイ卵を使っていて、バニラビーンズが入っているものがノアゴンの条件。キビシー!

今の私の仕事は、毎日パティスリーに行ってシュークリームを買って来る事。親戚からのお見舞い金は病院への治療費ではなく、パティスリーのシュークリーム代に(笑)
中のクリームがスカスカになったシュークリームの残りは私のお腹に。



とは言え、なるとツラい脱水は避ける為、皮下点滴だけは毎日うちでしています。脱水防止 + 総合ビタミンの点滴、1日に15分ほど。これは嫌がることなく出来るので、シュークリームと併用です(笑)

シュークリームのクリームを舐めるだけなので当然、かなり痩せて来ています。元は大きめで6キロあった体重も3キロ台に。シュークリームだけではいつまでもは続かないでしょう。足腰も随分と弱り、特に後ろ足はヘニャッとしてジャンプは殆ど出来なくなりました。そのせいで、トイレも時々、失敗します。
でも、それが何でしょう?そんな事は私たちがフォローしてあげれば何とかなります。出来なくなった事を指折り数えてアタフタするより、今日1日をいつも通りに楽しく過ごせた事が大事。

今でも、奇跡が起きると考えないワケではありません。私とpopさんがひたすら撫でて撫でてあげていると、機嫌良くぐふぐふ言い、なかなか熟睡できずに居たのがぐっすり眠れるようになりました。もしかすると、私かpopさんどちらかの手がゴッドハンドで、撫で続けるうちにガンが消えたりして~!そうしたら、奇跡の生還をした猫と、ガンを消し去るゴッドハンドを持つ飼い主として有名になり、世界各地からゴッドハンドを求める人や動物が殺到し、ガッポガッポ億万長者になっちゃうんじゃないの~、その為にノアゴンは今、頑張っていたりして……とか、アホな妄想をしています(爆)

15年前の今日、ヴェルサイユで出会い、私たちの家族になったノアゴン。パリから大阪、そして宮崎の田舎へ、去年には宮崎市内に。今までの15年の中でも最高のうちの子記念日です。



10月まで頑張るのは難しいかもしれませんが、来月はバージュうちの子記念日を皮切りに、私とpopさんの誕生日とお祝い続き。
その後は私のピアノの門下生発表会、初の試みとなる演劇とのコラボのコンサート等など、レッスンと本番が目白押し。
次に更新する時にはどんな内容になるのか、いつになるのか予想できませんが、忙しくても楽しく笑って過ごしたいと思います。

皆さん、素敵な秋を☆