「はやくイきますわよ。」
その声は自動改札機のさらに向こう側から僕の鼓膜を震えさせた。
「ナニをのんびりなさってるの。デンシャがキてしまいますわよ。」
あわてて自動改札を通り、その声の方向へ駆けていくとそこには案の定こぴんの姿があった。
「ねぇ。」僕は少しむっとして続けた。
「君は猫だ。猫は一人で勝手に自動改札を潜ったり、電車に乗り込まないものだよ。急にいなくなったらびっくりするじゃないか。」
「あら。それはあなたのカッテなヘンケンですわ。ネコだってジドウカイサツをクグりますしデンシャにだってノりますわよ。バカにしないでいただける。」
こぴんの声は僕の声よりさらにむっとしているように感じられた。
「あなただってイチドやニドくらいはごらんになったことあるでしょう。」
「僕は一度だって猫が一人で電車に乗ってる姿なんてみたことないよ。」
ついこの前テレビで猫の車掌が人気で田舎の路線の町おこしになっているというニュースを見たような気がしたが、それだって人間が意図的に仕組んだことで、実際に猫の意志で車掌をやっているわけでもなく、どちらかといえば乗らされているといったほうが正しいはずだ。
「それならあなたのメはフシアナですわ。だってワタクシここにクるときだってデンシャにノってきましたのよ。」
僕は言葉を失った。ずっと確かにそれは疑問に思っていたことだった。それでもにわかには信じることが出来なかった。今までに誰かから「今日の電車猫と一緒だったよ。」とか「満員のときは猫は小さくていいよね。」とかそんな話は聞いたことなかったし、もしそれが本当なら僕の目は間違いなく節穴だ。
「そうなんだ。」
僕は無理やり話を合わせてそう言った。
「じゃあ心配は無用だね。急いで乗ろうか。」
「だからさっきイってるじゃありませんか。」
僕の内心はもちろん半信半疑だった。
ところがいざ電車に乗り込んでみると誰一人猫が乗っていることを不思議に思っている人はいないようだった。それどころか、猫がいるのを気付いていないようにも見えた。
どうやら僕の目は紛れもなく節穴のようだった。
その声は自動改札機のさらに向こう側から僕の鼓膜を震えさせた。
「ナニをのんびりなさってるの。デンシャがキてしまいますわよ。」
あわてて自動改札を通り、その声の方向へ駆けていくとそこには案の定こぴんの姿があった。
「ねぇ。」僕は少しむっとして続けた。
「君は猫だ。猫は一人で勝手に自動改札を潜ったり、電車に乗り込まないものだよ。急にいなくなったらびっくりするじゃないか。」
「あら。それはあなたのカッテなヘンケンですわ。ネコだってジドウカイサツをクグりますしデンシャにだってノりますわよ。バカにしないでいただける。」
こぴんの声は僕の声よりさらにむっとしているように感じられた。
「あなただってイチドやニドくらいはごらんになったことあるでしょう。」
「僕は一度だって猫が一人で電車に乗ってる姿なんてみたことないよ。」
ついこの前テレビで猫の車掌が人気で田舎の路線の町おこしになっているというニュースを見たような気がしたが、それだって人間が意図的に仕組んだことで、実際に猫の意志で車掌をやっているわけでもなく、どちらかといえば乗らされているといったほうが正しいはずだ。
「それならあなたのメはフシアナですわ。だってワタクシここにクるときだってデンシャにノってきましたのよ。」
僕は言葉を失った。ずっと確かにそれは疑問に思っていたことだった。それでもにわかには信じることが出来なかった。今までに誰かから「今日の電車猫と一緒だったよ。」とか「満員のときは猫は小さくていいよね。」とかそんな話は聞いたことなかったし、もしそれが本当なら僕の目は間違いなく節穴だ。
「そうなんだ。」
僕は無理やり話を合わせてそう言った。
「じゃあ心配は無用だね。急いで乗ろうか。」
「だからさっきイってるじゃありませんか。」
僕の内心はもちろん半信半疑だった。
ところがいざ電車に乗り込んでみると誰一人猫が乗っていることを不思議に思っている人はいないようだった。それどころか、猫がいるのを気付いていないようにも見えた。
どうやら僕の目は紛れもなく節穴のようだった。