こんにちは
前回でようやく有名どころの調子を中心に既存のコードスケールへの再現が可能か検証するという引く美学編おまけ第2弾が終了し、引く美学編を閉幕しかけていたのですが、
リディアンスケールが1度も出てきていない
という最後の最後で重大な宿題を残してしまいました笑
そもそもなぜこういった事態に陥ってしまったのかというと、
・リディアンスケールは増4度持ち
・減5度↔増4度という異名同音関係の見落とし
・日本雅楽の階名…変徴→増4度
という重大要素がすっぽ抜けてたままずっと減5度で検証していたためにリディアンスケールに焦点を当てる事が出来ないままでいました
ですが、減5度は増4度と異名同音関係にあるため、その減5度(増4度)を持つ雲井系・岩戸系をもう一度調査し、今度こそ引く美学編を終了してブルーノート編に移行しましょう笑
例の如く、特殊例を除いてコンパクトにまとめた全体MAPを再確認しましょう
先程もお伝えした通り、今回は減5度(増4度)を持つ雲井系・岩戸系だけを調べます
そのため、中空系及び乃木調子・楽調子、減5度(増4度)を持っていない雲井系の一部は今回の調査対象外です
平調子を開始点とした雲井系・岩戸系の簡易調子MAPです
雲井調子に至るまでとそれ以降とでルート分岐しますが、今回は四上り半雲井調子から左右に順に調査していくスタイルで雲井調子を中間地点とし、
①雲井調子までの3調子
②雲井調子以降の4調子
という2分割構成で調査していきます
なお、調弦は平調(主音弦:E)で統一します
早速四上り半雲井調子からいきましょう
↑↑の時に解説しているのでここでは増4度に変更した度数表記の構成だけ記載します
完全1度・短2度・完全4度・増4度・完全5度・短7度
こんな感じのヘキサトニック構成でしたね
以前は減5度と完全5度とで似非という形で上行形・下行形と分けて調査しましたが、今回は完全4度と増4度とでそれを行います
つまり、
1オクターブ上に向かう3度・6度・増4度抜き…完全1度・短2度・完全4度・完全5度・短7度→似非上行形
1オクターブ下に向かう3度・6度・完全4度抜き…完全1度・短2度・増4度・完全5度・短7度→似非下行形
という事になりますが、ご覧の通り増4度抜きの似非上行形は既に調査済みですので、今回は増4度を含んだ似非下行形のみ調査します
…調査した結果、該当するものはありませんでしたorz
気を取り直して次は半雲井調子にいきましょう
完全1度・短2度・完全4度・増4度・完全5度・短6度・短7度
こんな感じのへプタトニック構成でしたね
先程の四上り半雲井調子同様、
1オクターブ上に向かう3度・増4度抜き…完全1度・短2度・完全4度・完全5度・短6度・短7度→似非上行形
1オクターブ下に向かう3度・完全4度抜き…完全1度・短2度・増4度・完全5度・短6度・短7度→似非下行形
増4度を含んだ似非下行形のみ調査していきたいのですが、四上り半雲井調子の時点で該当するものはなかったため、こちらも調査した結果、該当するものはありませんでしたorz
次は雲井調子にいきましょう
完全1度・短2度・完全4度・増4度・完全5度・短7度
四上り半雲井調子と構成が同じなので、該当するものはありませんorz
いやぁ心折れますね、これ笑
それでも未来は明るいと信じて続けていきます笑
雲井調子まで終えたので、次は雲井調子以降の4調子の調査をしていきましょう
まずは六斗上り雲井調子からですね
完全1度・短3度・完全4度・増4度・完全5度・短7度
短3度に変わったのでワンチャンありそうな気がするのですが、
1オクターブ上に向かう2度・6度・増4度抜き…完全1度・短3度・完全4度・完全5度・短7度→似非上行形
1オクターブ下に向かう2度・6度・完全4度抜き…完全1度・短3度・増4度・完全5度・短7度→似非下行形
増4度を含んだ似非下行形のみ調査してみましょう
うおぉあったぁ!けどちがぁう(TД T;)
一応ドリアン#4・スケールが該当しましたが、♭Ⅳm7なので違いますねorz
今回の目的が目的なのでモードチェンジは省略します
次は本雲井調子ですね
完全1度・短2度・完全4度・増4度・短7度
そもそもペンタトニックスケールにもなりきれてないので調査しようがありませんorz
次行きます
次は二十雲井調子ですね
完全1度・短3度・完全4度・増4度・完全5度・短7度・長7度
長7度キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
これは一世一代のビッグチャンス
1オクターブ上に向かう2度・6度・増4度抜き…完全1度・短3度・完全4度・完全5度・長7度→長7度Ver.似非上行形
1オクターブ下に向かう2度・6度・完全4度抜き…完全1度・短3度・増4度・完全5度・長7度→長7度Ver.似非下行形
増4度を含んだ長7度Ver.似非下行形のみ調査してみましょう
うおぉあったぁ!でもちがぁう(TД T;)
違うんですよ、こうじゃないんですよorz
あったのはすごいんですけどね、実際
モードチェンジはしませんが、リディアン♭3・スケールとハンガリアン・マイナースケールが該当しました
いよいよこれが最後です
岩戸調子は、
完全1度・短3度・完全4度・増4度・短7度・長7度
のヘキサトニック構成です
…完全5度がなくなったので出来ませんね、これorz
という事で試合終了~(TДT)
いやぁこれは悲しい終わり方をしましたね
ですが、何となくこうなるんじゃないかとは予想はしていました
というのも、そもそもリディアンスケールって
完全1度・長2度・長3度・増4度・完全5度・長6度・長7度
というヘプタトニックスケールで、言ってしまえばアイオニアンスケールの完全4度を増4度にした長音程ばかりのコードスケールなんですよね
せめて長2度・長3度のいずれかが含まれていればチャンスはあったのですが、増4度が雲井系・岩戸系にしかない事に加え、雲井系・岩戸系に長2度・長3度がない(みな短音程)という時点で負け戦ではあったんです笑
ですが、見落としがないようにするために負け戦承知の上でやってこの結果という事なので、結論としましては、
伝統的な箏の調子そのままの状態でリディアンスケールっぽく再現出来る条件はなし
という事が分かりました
単に有名な箏の調子の構造のままでリディアンスケールの再現が出来なかったというだけでペンタトニックスケールのモードチェンジでリディアンスケール上での再現可能な条件はあるので、完全敗北というわけではありません
それに、メジャースケール内の全てのダイアトニックコードのヨナ抜き・ニロ抜きが見つけられたり、乃木調子のおかげでアイオニアンスケールやミクソリディアンスケールの再現が出来そうな世界観がある事を知れたというのも、僕としては非常に有意義で実りある時間を過ごせました
以上をもちまして、今度こそ引く美学編を終了致します
ここまでお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m
これで皆さんもお分かりいただけたかと思いますが、引く美学って謳いはしたものの、要するに
メロディ上で使いたい音の選別っていつもやってますよね?笑
今までの話って皆さんが普段からやられている事を理論という形でかしこまって言語化したものにすぎないんです笑
ですので、意識せずともペンタトニックスケールの持つ和の心みたいな奥ゆかしさの再現は誰しもが出来るものではあるのです
ただ、その重要性を知るには音の足し方を先に学び、何が余剰(過剰)なのかという事を理解した上で減らし方を知るという順番で学習しないとその本質を見抜く事は出来ません
足すというのはアプリのアップデートみたいなものなので、脳内・身体のメモリ容量を大きく消費します
その消費の仕方を知らないで最初から容量小さめに過ごしていたらそれ以上の可能性を拡げられない(メモリ不足でアップデート不可)し、仮に足す事が出来たとしても余剰な生活に慣れていないから耐えられず暴発するなんて事にもなりかねません
味噌汁を作る際に味噌を入れすぎて濃くなってしまったら水で薄める(これもある意味足してるんだけどね笑)とかすれば何とかなりますが、作ってる段階で薄すぎるという場合に味噌を多く入れすぎる以外に塩など別のものを付加して風味が全然違うものになってしまうといったリスクを抱えやすくなります
濃い味を好みすぎるのも身体によくはありませんが、それを知ってるからこそ薄味の重要性を身をもって学習し、加減というものを知る事が出来ます
ですが、最初から薄味ばかりにこだわりすぎてしまうと可能性を狭めるだけでなく、後から足す→引くの順番で学ばないといけなくなる分、最初から足す事を学んだ人よりも実は1タスク余計な時間と労力を使う事になるのです
精神面のダメージもかなり大きく、最初から引く事を覚えてしまうと足す事への恐怖心も相まって足して解決するリカバリー方法を素早く取り入れられず、ここでも更に余計な時間と労力を強いられる事にもなりかねません
音楽もそれと同じで、先に音の足し方を知っておいた方が後の編集で余計な音を減らすだけで済むので、新たにメロディを考えて作り直したりするといった余計なエネルギーを使わなくて済みます
初めはノンリミットで好きなように作る、後に再現性を高めるために余計な分は削ぐという調整をして全体的なバランスの調った楽曲を仕上げる
そういった事を常に意識して曲作りをしてきて今がありますし、これが結果的に効率の良い勉強方法にも繋がった部分があったので、
先月後半に公開した↑↑から足す→引くの順番でコードスケールに関するブログを様々投稿してきました
少しでも参考になるものがあれば幸いです
そんなコードスケールシリーズも、次の「ブルーノート編」がいよいよ最終章となります
足す→引くの順で学んだからこそ見えてくる「何か」の捉え方と向き合い方について僕なりの作編曲の経験を総動員して挑みたいと思います
このブルーノートの意味を理解できた時、音を扱う事の何たるかが本当の意味で理解する事が出来るかもしれません
そのための準備期間として足す→引くの順で音の扱い方を僕と一緒に学んできた皆さんならきっとブルーノート編をクリアする事が出来るでしょう
ブルース自体扱った事がないので歴史から学ぶ必要がありますが、僕自身も皆さんにしっかり話せるように準備しておきますので、音楽についてまた楽しい時間を過ごしましょう
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
これにて引く美学編を終了します
次回の「ブルーノート編」でまたお会いしましょう
(^ ^)ノシBye Bye
参考情報元の数々↓↓
「不器用な想いを音で描く」を信条に、SoundCloudにオリジナル楽曲と東方自作アレンジを公開中です
興味があれば聴きに来て下さい♪