間取りのこともあり、階段の形状はストレートでいくことにしたチャシロ宅。
詳しくは前回のブログ
なのだが階段の「形状」についてネットで調べていてる過程で、どちらかというと階段は「勾配」についての話が多いことを知る。
もちろん階段の勾配は緩い方が安全性は高まる。
加えて年老いた時のことも考えると階段の勾配は緩いに越したことはない。
そしてその階段の勾配を決めるのが「踏面(ふみづら)」と「蹴上(けあげ)」。
踏面は足を置く部分の広さで、蹴上は階段1段あたりの高さになる。
で、積水ハウス「イズロイエ」の階段はどうなってるかというと以下の設定が標準だった。
○段数:15段
○踏面:200mm
○蹴上:約200mm(正確には197mmぐらいだったかと)
○蹴込:28mm
まぁ「可もなく不可もなく」なんかな…
実際に同じぐらいのサイズの階段を昇り降りしたが、特に問題に感じる程でもなかった。
でも欲を言えばもうちょい勾配が緩い方がありがたい。
なので、踏面をもう少し大きくできないか?
もしくは蹴上を小さくできないか?(=段数を増やせないか?)
ということを設計にお願いした。
そしたらここで思いがけない事実が判明する。
設計「イズロイエの階段は構造躯体が鉄骨で、工場生産されているものになるのでバリエーションは基本2つです」
「その2つというのは踏面が200mmのものと250mmのものです」
「段数の変更は不可なので蹴上は固定になります」
「希望のサイズの木製階段を購入してきて取り付けることは可能ですが、大幅なコストアップになります」
な、なんと…
階段のことについてネットで調べてると
「階段の安全を考えて踏面を3cm大きくしてもらいました☆」
とか
「うちの階段の段数はゆったりの16段です♪」
とかの話がゴロゴロしてたので、注文住宅でここが調整できないというのを想定してなかった。
じゃあ仕方ないので踏面を単純に250mmにするかと言えば、それは無理だ。
ちなみに↓がうちの階段部分の間取り。
この状態から階段をストレートのまま踏面250mmにすると、今の面積には収まらず廊下やホールにはみ出してしまう。
まぁ階段を緩くしたいと言った時点で間取り変更はやむなしなのだが、200mm→250mmだと想定以上の変更が必要になってくる。
と言っても何の考えもなしに変更を打診したわけではなく、幸いにもチャシロ宅は2階ホールにゆとりがある間取りだったので、その部分を少し階段に使って対応することを考えていた。
具体的には↓の図みたいな感じに変更できないか目論んでいた。
1階の階段スタート位置は間取りの関係上ずらすことができないのだが、ゆとりのある2階部分を使ってかね折れ階段にして対応しようという狙いだ。
だがここでも新たな事実が判明する。
設計「積水ハウスの社内規程で、階段踏面の四隅は柱もしくは壁で支えることが決められています」
「なのでチャシロさんの案だと追加で3本の柱(下図の赤丸箇所)が必要になってきます」
つまりはこういうことらしい...
な、なんと…
階段のために柱を3本も増やせと申すのか...
チャシロ「じゃあ階段を2階床から吊ったりはできへんの?」
と聞くと
設計「吊り階段も社内規程で禁止されています」
「柱の件もそうですが、これら規定は階段の構造をしっかりと安定させたものとし、床鳴りを防ぐことも目的としています」
とまぁ思った以上に積水ハウスの階段は雁字搦めなもののようだった。
その分安全ではあるんだろうが...
どうしようかと結構悩み、例えばかね折れ階段を諦めて、上階の部分を曲がり階段にするというのも考えた。
↑の案なら追加する柱は1本になる。
1階にできる柱の位置も加味して考えて
「柱の数としてはギリギリ許容できるかな」
といったところ。
なのだが、安全性を高めるために踏面を大きくして、安全性が落ちる曲がり部を最上部に持ってくる、というのはなんだか矛盾している気がして自分の中ではナシだった。
こんなやり取りを半月ほどあーでもないこーでもないとかやってたと思う。
と、そんな最中、設計から救いの言葉が舞い降りる。
設計「本社に問い合わせて聞いてみたところ、あまり出回ってないのですが、200mmと250mmの中間の踏面220mmという仕様があるようです」
「こちらですとそれほどコストアップとはならなそうです」
これは...!という感じで更に試行錯誤して最終的に決まった階段形状がこちら。
最上段を2階床面より一段下げて踊り場にして、踏面220mmの部分を13段にするというもの。
これだと追加する柱は一本で、階段形状もほぼストレートを維持できており、2階ホールを狭める必要もない。
ということで
「標準より踏面を20mm大きくできた」
という仕様にチャシロ宅は落ち着いた。
まぁこれで安全性がどれだけ上がるかというとハッキリとはなんとも言えないが、ちょっとでも良くなってるといいな、と思う。
階段については打ち合わせ以外にも電話・メールで何度も設計と話をした。
最後の形状に落ち着くまで面倒くさがらずに毎回丁寧に対応してくれたのは本当にありがたく思う。
そしてこの階段のことを振り返って自分に言いたいのは
「階段は最初に間取りを考える時に真剣に考えろ!」
ということ。
間取りが決まってから階段に文句を言い出すと非常に面倒なことになりますのであしからず。