現在英文和訳のトライアルを受けています。
そこで気になったことがひとつあるので、記事にしてみます。

トライアルの内容や合否の判定方法について批判をする意図はなく、
ただ疑問に思ったことを書いてみます。


気になったのは、医薬分野の英日翻訳トライアル。

原文に少し平易な表現があったので、そのまま訳すかもう少し
専門的な表現にするか、迷いました。

直訳のようなかたちで訳すなら、平易なまま。
でも、読み手が医師などの専門家なら、専門的な表現にした方がいいのでは。

原文には、どちらの日本語にもできるような表現が使われている・・・。


困ってしまったので、翻訳会社のトライアル担当者に質問してみました。

原文、訳文それぞれに、どのような人を読み手としている文章なのか。

原文は論文でも、訳文を一般読者向けの雑誌に載せる、という場合も
考えられますから、原文と訳文の読者は必ずしも一致しないと考えて、
両方聞いてみました。

すると、いただいた回答は「想定している読者はおりません」でした。

わたしは「読者の想定がある」と思って質問していたので、
この回答は予想外でした。

翻訳というのは読み手があるからこそ成立する仕事なのに、
翻訳者の採用を判断するトライアルにその読み手が想定されていないとは
どういうことでしょう。

トライアル受験者が読み手を意識するかどうか判断するため、
あえてそのような回答だったのか。
(社内的には読み手が想定されている)

それとも回答のとおり、読み手を想定しないままトライアルの訳文を読むのか。
(社内的にも読み手が想定されていない)
この場合、訳例(があるという前提ですが)や合否の判断基準は
どのように作成しているのでしょうか。

翻訳会社の方に聞いてみないと本当のところはわかりませんが。


翻訳会社への質問に対する回答が、その翻訳会社がどのように翻訳に
取り組んでいるのかの判断材料になるのでは、と思った出来事でした。