私が昔読んだ本に、「BAR酔虎伝」という本がある。
この本は、バーのマスターが大好きなハードボイルドミステリーにまつわるお酒を題材に、色々なお酒を紹介する本です。
今手元にその本がないから正確な事が書けませんが、この本の最初に出てくるカクテルは「ギムレット」です。
ギムレットはジンベースのお酒で、ジンにライムジュースをシェークして作るカクテルです。
私はこの本を見てシェーカーを買い、実際にギムレットを作ってみました。趣味でシェーカーが振れても良いのではないか?と考えたのですが、実際には、アパートでシェーカーを振るとウルさくてお隣さんから苦情が来る為、すぐ止めてしまいましたが。
BAR酔虎伝には、有名なハードボイルド小説の作家「レイモンドチャンドラー」の代表作「ロンググッドバイ」の中の一小節を取り上げ、こんな風に取り上げていました。(手元に本が無いので、他の方のブログを参考にしました)
物語の主人公マーロウの台詞で、
「こっちには本当のギムレットの作り方を知っている人間はいない。ライムかレモンのジュースをジンに混ぜて、そこに砂糖をちょいと加えビターをたらせば、ギムレットが出来ると思っている。本当のギムレットというのは、ジンを半分とローズ社のライム・ジュースを半分混ぜるんだ。それだけ。こいつを飲むとマティーニなんて味気なく思える」
と言っています。
それに対し、
BAR酔虎伝のマスターは、確かこんな風に話していました。
「マーロウの言う通りで、ギムレットをこんな風に作っちまうと、凡そハードボイルドな男の飲むものではなくなってしまう」と。
ギムレットは、ジンをベースにどこまでもドライで、人生を背負いつつも寡黙に生きる男を慰めるお酒なのだそうだ。
話が長くなってきました。
ギムレットが男のお酒なら、マティーニは上品な女性のカクテルと言ったところでしょうか?
マティーニは、同じジンベースで作るカクテルですが、副材料にベルモットを使います。とても上品なベルモットの香りは、ジンのドライさに少量の切なさと優しさを感じさせます。
いつも顔を出す馴染みの呑み屋さんのバーテンさんが、昨日を持って辞められました。といっても、彼はバイトさんで、この度就職が決まったそうです。
2年弱の付き合いでしたが、私にはとても気を使ってくれるとても優しい人でした。
昨日、お店に顔を出し、彼にお任せでカクテルを作って貰いました。
それが、こちら。
お察しの通り「マティーニ」です。
実は、彼には、前にもカクテルをお願いしたことがありました。
それは、彼がこの店で初めて作ったカクテル「マンハッタン」です。
マンハッタンは、マティーニと同じベルモットを副材料としたお酒で、主材料にはバーボンを使います。
これを頼んだときも、彼にお任せでお願いし、私がバーボンを好んで飲んでいた事を考慮して作ってくれたものです。
でも、この時私が「イマイチ」との評価をしてしまった事で、彼はその後随分気にしていました。
彼は、私にマティーニを作る事を予め決めていたようです。
「どう?上手くなったでしょ!」と言う気持ちと、少量の切なさと、優しさを感じるような、そんなカクテルでした。
今まで、素敵なお酒と時間をありがとう。
新しい世界でも、頑張って!ささやかながら応援しています。
