今日は、深読みしすぎたけれども結論は単純だった症例。
症例:30代、女性
現病歴:ここ最近になり右手背・右手指背に大豆大までの自覚症状を伴わない
常色丘疹が多発してきたため当院初診。爪周りに丘疹なし。
既往歴:特記すべきことなし。健康診断で問題なし。
現症を写真に示す。
問診にて、手指が若干腫れぼったい感じがする、関節痛なし。
さて、手指の非典型的疾患で、僕がルーチンで行うのが、NFB・爪囲紅斑の
チェックです。
何と、NFBが7か所に認められました!
ここで僕は、とある疾患を鑑別に、採血・生検を行いました。
さてその疾患は?
A. multicentric reticulohistiocytosis
しかし、血液検査では抗核抗体・特異抗体・抗CCP抗体はすべて陰性であり、
生検の結果は、
granuloma annulare
でした。
確かに、multicentric reticulohistiocytosisにしては片側性であり、関節所見もなく、
coral beads signもなく、積極的には支持しづらい所見でした。
NFB7か所がどうも腑に落ちなかったのですが、問診にて、野菜を切る仕事をしている
とのことであり、それによる変化と考えました。(もちろん、要経過観察。)
抜糸時には、生検と同時に開始したステロイド外用剤にてやや改善傾向でした。
granuloma annulareは生検を契機として自然消退することもあるため、しばらく
このまま経過観察とし、難治の場合は、光線療法やチガソン内服も検討、という
ところです。
いやはや、深読みしすぎましたね