Steven Meisel Talking About The Models(2) | Woke Up In the Beautiful World

Woke Up In the Beautiful World

女優・モデル・音楽…美しいものは世界を救う!!
主に海外モデルを中心に紹介します。

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Isabella Rossellini by Steven Meisel for Dolce&Gabbana


I.S:それともうひとつ、“ツィギーと私、12歳。”って書いてあるのもあったわ。これはどこで手に入れたの?

S.M:それ、クレイジーなのよ。ツィギーがNYに来たときのものなんだけど。


I.S:どうやって知ったの?

S.M:知ったというよりは調べたって言った方がいいかもね。ひどい英語のアクセントのカレンっていう友達がいて、彼女がツィギーとランチに行きたいんですけどって事務所に電話したの。でもツィギーは行かれないし、彼女と連絡を取ることも出来ませんて言われたわ。そしたら事務所の女の子がお昼過ぎにツィギーを見かけたってカレンに教えてくれたの。だから私は学校をサボってメルビン・ソコルスキー のスタジオまで行ったのよ。12歳のときだった。


I.S:スティーブン、あなたって本当にクレイジーなのね。

S.M:頭がおかしかったわね。とにかく、ドアを叩いて誰が出てきたと思う?アリ・マッグロー よ!


I.S:夢の中じゃなくて?

S.M:(笑)違うわよ!でも本当に彼女は嫌な奴だったわ。その頃フォトグラファーにはスタジオで彼らのために働くスタイリストが付いていたの。アリの仕事はあれやこれやを取ってきたり、スタイリスト、ヘアスタイル、メイクアップとかもやってたけど彼女はモデルじゃなかった。彼女はドアを開けてこんなことを言ったのよ、「あら坊や、中には入らないでちょうだいね。」って。

だから私は外で待ってたの。そしたら男の人がこっちに来て「ツィギーに会いたいのかい?」って聞くから私は「そう、会いたいの。会いたい。」って言ったわ。男の人は「問題ないよ。今、マスコミ向けに色々やっているところなんだけど、僕達と一緒に働きたくないかい?ツィギーが外に出てくるところに子供が入ってきて、彼女は子供にキスとサインをあげるっていうシチュエーションが欲しいんだ。」って言うから彼と手を打って、その画がマスコミに流れたわ。あの写真はそのときに私が撮ったものなの。


I.S:その後はどうしたの?

S.M:居座り続けたわ!メルビンは私に彼がその日に撮ったツィギーの写真をくれたの。彼女のサイン入りでね。今でも持っているのよ。

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<La Dolce Vita>
US Vogue February 2009.
Model:Karlie Kloss, Viktoriya Sasonkina, Katrin Thorman

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<Conttage In Riva al Mare>
Vogue Italia Nov 2008. 
Model:Toni Garrn,Katrin Thorman

I.S:10歳や12歳の頃にそういったことをしていて、同じ興味を持っている友達はいたの?

S.M:パティ・スミスは知ってるわよね…


I.S:えぇ。

S.M:彼女のピアニストのリチャード・ソール、亡くなったけど、彼のことは小学生のときからよく知ってるわ。彼と一緒にいるようになってから、カレンのように二人とも私と一緒にゲームをしてくれた。楽しくて、面白くて、私達は本当に変人以外の何者でもなかったわね。


I.S:パーソンズに行ったときも、あなたはまだそういったことに惹きつけられてた?

S.M:そうね、えぇ。でも言ったように、そのときの私は年取ってたし、うんざりしてたの(笑)こんな感じだったわ、“あぁ、そうね。そろそろ落ち着いてキャリアを考えなきゃいけないのね”って。それまでやっていたことってすごく幼いことでしょ。

でもそのうちにまばゆいばかりに美しい女の人達ってみんなバッグとポートフォリオを抱えてるって気付いたの。それで“道を歩くこの人達はどうして黒いポートフォリオを持ってるのかしら?”って疑問に思ってたの。当時モデルはドレスアップして毛皮のコートを着て、ジーンズなんて履いてなかった。彼女達は本当に大きくて、道ですれ違う男の人達よりも背が高かくて、本当に綺麗だったわ。そこでわかったの、疑問に思っていた女の子達はモデルで、抱えてたバッグはメイクアップバッグだったんだって。その一方でヘアもメイクも彼女達自身でやっているんだってことも知ったの。


I.S:そしてその時ペンを置いてカメラを持とうと決めたわけね?

S.M:はっきり言って、自分がフォトグラファーになるなんて考えたこともなかったわ。2年間WWDでイラストを描いていて、そこでの仕事が何に繋がるとも思っていなかったしね。だから、“オーケー、私はファッション、モデル、そこで働く人達が好きで、もしかしたらファッションフォトグラファーにもなれるかもしれないわ”って思ってたけど、私の中では大したこととして認識してなかったの。そんなこと実現できると思ってなかったし、全てのフォトグラファーが私にとってはアイドルだった。


I.S:特に好きだったのは誰?

S.M:みんなよ!ジェリー・シャッツバーグからアーヴィング・ペンまでみんな!当時自信なんて全然なかったし、写真が自分の進む方向だとは思っていなかったわ。本当に自分に確信がなかったの。この話はゲイについてのあれこれっていうこともあると思うんだけど。当時のフォトグラファーはみんなへテロだったの。だから“あぁ、同性愛者はヘアスタイリストかメイクとかそういうことで働くしかないのね”って信じてたわ…でもそんな仕事はしたくなかった。それにファッションスタイリストにもなりたくなかったしね。私がやりたかったのはフォトグラファーになるって、それだけだったの。でも自分の立場に安心できなかったわ、本当にゲイにそんなこと出来るなんて思えなかったから。私達の手の届くものではなかったのよ。
自分に言い聞かせたわ、“よく聞いてスティーブン、黙ってこのまま働くのよ”って。


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Patterns at Vogue Italia


I.S:歴史への一休みだったのね!初めて自由に仕事が出来たのは?

S.M:WWDで働いていたとき、Eliteへ行ったの。若いモデルが働いているところで、“Testing Ground”って呼ばれてるテスト撮影をしてる所でもあったわ。そこでは全てが自由だった。どうしてかわからないけど、Eliteの女の子2人が私のことをクールだと思ったらしくて、写真をいくつか撮らせてくれたの。何を彼女達に見せたわけでもなくて、彼女達とお喋りしてたら最終的に私をモデルと一緒に働かせてくれたわけ。グラマシー・パークの自分のアパートや道端でモデルを撮ったわ。平日はWWDで働いて、週末はモデル達を撮った。その中にはファービー・ケイツ もいたのよ。

そのときに彼女達がセブンティーン誌に見せるための写真を撮ったことがあって、それで彼女達はその仕事を貰えることが出来たの。その写真を見たセブンティーンの人達が「誰が撮ったんだい?気に入ったよ。」って言ってくれたってEliteが教えてくれたのよ、「セブンティーンの人達が君の仕事を気に入った」ってね。それで彼らが君の番号を知りたがってるから、君と契約してくれるんじゃないかって言われて。そのうちにセブンティーンから連絡があって、うちで働かないかって聞かれたの。もちろんイエスって答えたわ。だけど当時フルタイムの仕事をしていたから、それも週末だけの仕事だったの。ファービー・ケイツとは2~3回仕事をしたけど、それだけの話ね。

I.S:初めて夢中になったモデルは?

S.M:リンダ・エヴァンジェリスタ。彼女と働くようになってから何年も経つけど、リンダと私の関係はとても重要なの。私に「オー・マイ・ゴッド」と言わせたのは彼女が初めてよ。

I.S:写真の話をするとき、あなたとあなたのモデルはいつもディープな関係にいるように見受けられるわね。その結ぶつきは永遠のようにも見える。

S.M:ほとんどの場合、イエスと言えるわね。キャリアの中で徐々に育むようなものだけど、本当に彼女達に熱中してしまうのよ。恋に落ちて、夢中になってしまう。

I.S:それは彼女達の中にはより素晴らしい写真を撮らせてくれるモデルがいるから?

S.M:そうね、もちろん。

I.S:あなたの執着はそこを中心に回っているから、そうよね?

S.M:もちろん。75~90%は何も与えられない。それは女の子達が与えてくれるから。自分の仕事を愛していて、モデルとして演じるのが好きで、創造するのが好きな子。それが一番面白いところでもあるわ。