ちょっと、お久しぶりの投稿です。今年のブエルタ・ア・エスパーニャは期間中の投稿が極端に少なく、終焉後にようやく記事を書いております。まったくその気になれなかった理由は明白。ワウト・ファンアールトです。今回は、彼のリタイアで改めて痛感した想いを語ります。

 

ロードレースに限りませんが、スポーツの楽しさとか勝負のおもしろさや醍醐味は、アマチュアでもそれなりに感じられます。プロが決定的に違う点は、そこに人々を惹きつける魅力があるか、ないか。魅力とは俗に言う「ワクワク感」で、個人的にはこれが「エンターテイメント」だと信じております。

ちょっと話はズレますが、オバさんは野球に興味はなく、大リーグも無関心です。でも、大谷選手の愛犬が可愛すぎて、デコピンTシャツを購入してしまいました。これこそ、プロのエンターテイメントの最大効果だと思いましたよ。そんな「体験」をした後、今年のブエルタのワウト・ファンアールトを考えました。

 

ド素人思考だし、推しライダーという色メガネがあるかもしれないけど、ワウトくんは現在のプロロードレース界で数少ないエンタメ性を持つトップライダーのひとりです。ようやく、彼らしい走りが戻りつつあったブエルタでは、なんと、ポイント賞と山岳賞の2枚のジャージを狙う走りを披露してくれました。こんな「離れ業」に挑戦できる人って、ワウトくん以外に誰かいるでしょうかね。第2週目のとくに後半、「今日はどんな走りを見せてくれるんだろう」と毎日ワクワクしテレビ画面に向かっておりました。

楽しかったです。本当に…心の底からレース観戦を楽しめました。これぞまさに、プロスポーツが持つ魅力「エンターテイメント」ですね。

あれは、3週目最初のレースでしたか…。頑張るライダーたちに申し訳ないんだけど寝落ちしてしまい、明け方にネットでリザルトを確認したとき、ワウトくんのリタイアを知り大ショック。事実上、ここでオバさんのブエルタのお楽しみは終わりました。

 

ワウト・ファンアールトが去っても、2024年シーズン最後のグランツールのレースは続きます。様々なライダーたちの様々な思惑が絡み、勝負の綾がうまれ、そして最後に誰かが歓喜のガッツポーズ、という流れも変わりなく続きます。ただ、あくまでオバさんの個人的感覚で言わせてもらうと、ひとシーズンに何十回もレース観戦していると、こうした風景に慣れてくるんですよね。ライダーたちの思惑や、勝負の綾のレベルによってはやたら感動したところで、そこにエンターテイメント性を感じ取ることは、あまりありません。

とくに今年のブエルタのマイヨロホ争奪戦に関しては、個人的にはワクワク感が少なかったです。そう、まったくないとは申しませんが、ワウトくんのそれとは比較できないレベルでした。ガチンコ勝負といいますか、テレビ中継でたまに使われる表現「素手の殴り合い」みたいな走りが、あまりなかったような気がします。

誰かが加速する、誰かが反応して集団も追いつき、またスローダウン…終盤勝負どころの山岳レースの激坂で繰り返された風景です。オバさん的にはこの要因が、プリモシュ・ログリッチの「意外な保守走り」にあったと見ております。過去3回、総合優勝したときの彼って、激坂でのドッカン走りが魅力的でしたからね。これもまた、エンターテイメントでした。今年はたぶん、背中に抱えた痛みの再発を恐れたんじゃないかと考えますが、それでも2週間で5分差をひっくり返し、さらにタイム差をつけての見事な勝利でした。

 

さて、ブエルタのクラッシュで右ひざに大けがを負ったワウト・ファンアールト。チームはブエルタの期間中に彼の今シーズン終了を発表し、この時点では入院中と報道されました。精神的に、そうとうなダメージを受けているそうです。心配だけど、心の傷は家族や友人たちの「愛」が癒してくれるでしょう。オバさんがもっとも心配なのは、ワウトくんの来年です。日本の解説者K氏が、折に触れ「レジェンドライダーのキャリア終盤に落車が多くなる」と指摘しており、オバさんもその通りだと感じるのです。

今年の誕生日で30歳になるワウト・ファンアールト。はたして、彼のキャリアはもう下り坂なのでしょうか? 考えたくないけど、実感してしまう2024年シーズンのワウトくん。現在のロードレース界では極めて貴重な、抜群のエンターテイメント性を持つライダーだけに、復活を心から願っております。