2024年シーズンは、ツール・ド・フランスが終わってすぐにオリンピック。大イベントの余韻を楽しむ時間が少ないですけど、そもそも、個人的には今年のツールに「余韻」は感じておりませんので、時間も何もないんですがね。

さて今回は、そのツールとオリンピックに関わる海外メディアが報じた記事で、オバさんの興味を引いた話題をふたつ語ります。まずは哲学者マルタン氏の、「自転車が重すぎて勝てなかったんだよ」ってお話です。

 

コフィディスのエースナンバーを背負い、2024年ツール・ド・フランスに参戦したギヨーム・マルタン。31歳のフランス人ライダーは、マイヨジョーヌから43分遅れの総合13位というリザルトの要因が、使用した自転車の重量にあるとメディアに語りました。コフィディスが今年のツールで使用した自転車は、「ルック・795ブレード 2 RS」。このバイクの総重量が7・7㎏あり、UCIの規定する最低重量6・8㎏より「1㎏(マルタン談。実際は900g)」重かったから、総合トップ10に入れなかったんだよ!というワケです。

当然、チーム側は反論。「メーカーには全幅の信頼をおいている」から始まるコメントは、所属ライダーの謀反(?)に対抗する典型的な内容で、「マルタンのリザルトは、バイクの重量が要因のすべてではない」と締めくくります。今年のツールに参戦したライダーで、自転車がもっとも軽かったのはヨナス・ヴィンゲゴーの6・8㎏、逆に一番重かったのが、前半で大活躍したアブラハムセンの7・9㎏だったそうです。ライダーの体質や脚質により、これほどの差がある現実には、オバさん的に興味深いです。で、哲学者マルタン氏の場合、ツールの自転車がいつも乗っているそれより重かったと、強調したかったようです。

「俺たちが体重900g減らすのに、どれだけ苦労するか解ってんのかよ」なんて本音が、ヒシヒシと伝わる彼のコメント。所属ライダーの機材批判はなくはないけど、そう頻繁には起きないことです。今年でコフィディスとの契約が終わるマルタンは、ウワサじゃグルパマ・FDJへの移籍が濃厚とか…。とすれば、今回の「文句」も納得ですね。

 

ツール・ド・フランス終了後まもなく、タデイ・ポガチャルのオリンピック辞退が報じられました。当初は、その理由が疲労と言われたけど、先日、別の理由もあったと伝える記事を見て、オバさんは思いましたよ。「いかにも、タデイらしいなぁ」と。

それが、婚約者のウルシュカ・ジガルトがオリンピックのスロベニア代表に選出されなかったこと。ウルシュカは今年6月のツール・ド・スイスで総合9位に入ったり、タデイいわく「過去2年でスロベニアのポイント獲得にもっとも貢献した」実力の持ち主です。にもかかわらず、オリンピック代表に選ばれなかったという現実が、タデイの決断のひとつになりました。もう一度言うけど、彼らしいですよ。あれは確か、ツールの第20ステージでしたか。1級山岳の頂上で待っていたウルシュカに、ボトルの水を「シュッ」とかけていましたね。圧倒的に強いんだけど、少年っぽさを感じるこうした動きとのギャップが、ホント…たまりませんな。オリンピック辞退の決断も含めて、タデイ・ポガチャルの人間的な魅力のひとつです。

タデイといえば、余談をひとつ。6勝と暴れまくったツールだけど、勝ちすぎを指摘したメディアに対する、彼のコメントが最高でした。

「ぼくは勝つために給料をもらっている」。これぞ、まさにプロ意識! 少しは勝ちを譲れよなんて、未だロードレース界にはびこるアマチュア思考を一刀両断にしてくれて、オバさんもスッキリしましたよ。