最初に説明しておくと、今回オバさんが語りたいのはツール・ド・フランスの金銭問題ではありません。なんか、タイトルがそれっぽく感じられそうでも、今、自分が話したいなと感じたことをふたつ並べただけです。まずはこの写真を掲載し、サイクルロードレースのチーム資金に関するド素人の個人的な想いを語ります。

オバさんの推しライダーのひとり、プリモシュ・ログリッチ。ツールに合わせ新調したジャージとヘルメットが、けっこう似合ってるなぁ…なんて思うんですけど。世界規模で事業展開する大手スポーツドリンク・メーカーがメインスポンサーに仲間入りし、メディアやファンの期待が一気に高まったドイツのワールドチームは、はたして今年のツールに、どのような戦績を刻めるでしょうか? 

 

運営資金をスポンサーだけに頼る現在のチームの脆弱性を、オバさんはもう何度もこのブログで語ってきました。自転車に限らず、プロのチームというのはスポーツの業種に関係なく、お金をかければかけた分だけ強くなります。これは、水が上から下へ流れるのと同じくらいに明確な、物理的現象なのです。で、先日、今年のツールのオフィシャルブックを読んでいて、UAE・チーム・エミレーツのスポンサー欄に「国家」という文字があり、改めて感じたのですよ。「これ、ちょっと変じゃね?」。

ホント、今さら改めてなんだけど、国家ですよ。オイルマネーで潤う国の予算で、運営されるワールドチームです。ボーラ・ハンスグローエにレッドブルがついたとしても、イギリスのワールドチームのスポンサーが世界的なエネルギーメーカーだとしても、供給されるお金のスケールが違うと、オバさんは考えます。ましてや、地元企業やオーナーの人脈だけで運営するチームが、UAEより強くなれる可能性は無限に近いゼロ%です。

2024年シーズンのタデイ・ポガチャルの年俸は、10億円を超えていると言われます。こんな金額、ほかに支払えるワールドチームありますかね。また、実力とネームバリューが絶頂期のライダーを次々に抱え込み、ツールメンバーはオールスター状態。ライダー本人にしても、自分のキャリアに高額年俸を支払うチームへ移籍するのは、プロとして当然の判断です。こうして、オイルマネーでたっぷり潤うひとつのチームに支配される、という現実が人々の記憶に焼き付くのが、今年のツール・ド・フランスになりそうです。

 

「(総合争いは)3日か4日で決着がつく」。フランスのワールドチームのオーナー、マルク・マディオ氏の発言に、オバさんは思わずうなづきました。ホント、その通りだろうなと。タデイ・ポガチャルと彼のチームが、3週間を完全コントロールする今年のジロのような展開が、ツールに再現されるというコトです。こうした状況を想像するとき、どうにもスッキリしないのが、ヨナス・ヴィンゲゴーの参戦です。あくまで個人的な妄想だけど、ヨナスの参戦にもお金が絡んでいるような気がしてなりません。バスクの大クラッシュの直後、チームは「(ツールで勝てる)100%の状態でなければ参戦させない」と明言しましたが、それが時間の経過とともにトーンダウンしていきました。で、結局は参戦を発表し、「ここまで来られたこと自体、勝利だ」なんて、ワケの解らないコメント。

ヨナスに期待される「勝利」とは、ツールの最終日にマイヨジョーヌをまとって表彰台に立つことです。その確信が得られないまま彼を参戦させた理由は、たぶんスポンサーからの圧力です。ヴィスマ・リースアバイクはさらに、スーパーアシストのクスくんが病気欠場となました。2024年のツール・ド・フランスに、このチームの活躍は期待しない方がいいかもしれませんね。

 

ツールのグランデパが迫り、各チームのエース級ライダーのコメントが報じられています。オバさんの目に留まった限りと前置きすれば、そのほとんどが「総合争いはさておき、ステージ勝利を狙う」みたいな内容。「タデイと真っ向勝負するぞ!」なんて大それた発言をしたら、あとには後悔しか残らないと、みんな考えているようです。

というワケで、ツール・ド・フランスを楽しみにしている皆さま、今年は去年と違う見方をしたほうがいいと、オバさんは思いますよ。