いきなりですが、これ、595回目の投稿です。そのほとんどでサイクルロードレースを語ってきて、今回のテーマはこのスポーツの魅力。ツール・ド・フランス前の、ちょっとしたレースの空白期間にふと考えたんですよ。「今まで、感性が反応したとき気分のままに記事を書いてきたけど、はたして、自転車レースの魅力をしっかり伝えてきたかしら?」なんてね。だから、最大のイベントが始まる前に、このプロスポーツで自分が感じる魅力を、改めて語ってみよう、というのが今回の投稿です。

 

まずは、サイクルロードレースの観戦に不向きなタイプ。魅力を語ると言いながら、なんでいきなりそう来るの?なんて思われそうですね。ただ、物事の捉え方は百人百様。正直に実態を語ることが、正しい魅力の伝え方だとオバさんは考えます。で、観戦に不向きなのは「なんとかパフォーマンス」を重要視する人です。コストとかタイムとか…自分の生活の中で、効率性を何より大切にする人にとって、サイクルロードレースは「苦痛」以外の何モノでもありません。音声や映像を早送りで聞いたり見たり…みたいな方々は、「あ、自分不向きなんだ」と思っていただいて結構です。

こうした、効率重視の人々が苦手とする部分こそ、ロードレースを愛する者にはたまらない魅力になるのです。日本の有料チャンネルの放送時間で語ると、短くて3時間。グランツールクラスになると5時間から6時間以上という時の流れの中に、ゆったりした気分で身をゆだねられる人へ、オバさんの熱い想いを送りましょう。

 

広大な山裾の鮮やかな新緑の中、神秘の藍色を浮かべ大地の瞳のように輝く、小さな湖…。ヘリコプターのカメラが映し出す、まさに息を呑むような絶景はサイクルロードレースの素晴らしい魅力です。そのほとりの小さな村を通過する道をライダーたちが走り、テレビ画面は苔むした石塀の上にそっと置かれた真っ赤な花の鉢植えに切り替わります。こうした、空間のダイナミックな変化はほかのプロスポーツでは味わえないし、山奥の小さな村の素朴な風景なんて、観光旅行では絶対お目にかかれません。上空からの壮大な映像、そして、人々の日常生活がヒシヒシと伝わる風景…。我が家のリビングで極上の海外旅行気分が堪能できる、サイクルロードレースの素晴らしい魅力です。さらにこれを深めると、地域ごとの特色や歴史まで感じられるようになり、ますますハマります。個人的には、この魅力をとくに強く感じる地域が、スペインのバスク、ベルギーのフランドル、そしてフランスのブルターニュです。実はオバさん、学生時代から西洋史が大好きだったので、余計に惹かれるのかもしれません。

 

さて、サイクルロードレースは、一度の「試合」の成績は個人単位なのに、勝負の行方を決めるもっとも重要な要素はチームプレイという、独特の個性を持つプロスポーツです。ひとつのチームの中に、勝つことが仕事の者と、彼を勝たせるために働くことが仕事の者がいる構造は、ロードレースの特性であり魅力でもあります。エースとアシスト。双方の意味と勝負への関わり方、チーム内での立ち位置なんかが理解できるようになると、そりゃもう、レース観戦が楽しくてたまらなくなりますよ! こうした彼らの動きを追っていくと、チームの戦術・戦略が見えてきて、チーム対チームの戦いを楽しめるようになったら、あとはサイクルロードレースの魅力の底なし沼へ墜ちていくだけです。

 

ツール・ド・フランス開幕直前のタイミングで、このプロスポーツの魅力を少し語りました。そう、ほんの一部です。ただ、「ちょっと観てみようか」と思うようなら、まずここを感じてほしいな…みたいなお話をしてみました。

できれば推しライダーをひとり選び、彼の走りを見ることで、ロードレースの魅力発見につながれば最高ですね!