ついに、この時期がやってまいりました! サイクルロードレース最大のイベントの足音が、ヒタヒタと聞こえてくるときです。「いよいよ始まるね~」と感じるグランデパ前日や当日ではなく、開幕まで1か月を切った頃の雰囲気が、個人的には気に入っているのです。前哨戦と呼ばれるレースを終え、そこでの走りやリザルトを参考にしながら、メディアはもちろんファンもマイヨジョーヌの行方を予想します。これが、楽しいのですよ。

元々、妄想好きなオバさんなので、ドーフィネの後はそりゃもう凄い勢いで…あれや、これやと頭の中の「自己流ツール・ド・フランス」が形成されていきます。はたして、マイヨジョーヌは誰の手に? そこで、今回の投稿。ド素人の極めて個人的な思考全開で語る、2024年ツール・ド・フランスの勝負の行方です。今年のツールには、実力とネームバリューがトップクラスのスターライダー4人が参戦すると言われており、オバさんの妄想劇場の主人公たちも、当然、彼らです。

 

まずは、「普通に考えれば、みんなこう見るよね」という王道の予想。タデイ・ポガチャルの、3度目のツール制覇です。あのジロでの走り…ほかのライダーたちとステージのランクがひとつ違うような、まさに圧倒的でした。3週間21ステージ、タデイは勝ちたいとき勝っていただけ。こういうのって、個人的にはプロの勝負と言えません。誰かを相手に真剣勝負する走りなど、ただの一度も見られなかったとオバさんは受け止めました。そして、多くの人が同じことを思ったのではないでしょうか。「彼を負かせるライダーは、ひとりしかいない」と。

その唯一のライダーが慣行していた、ツール3連覇を目指す緻密なミッションに大きな狂いが生じたことで、タデイの有利性が増したのです。だから、今年のツールにあり得ない事態が発生しない限り、彼がマイヨジョーヌを獲得する可能性はかなり高いと考えます。ただ、オバさんの妄想では「あり得ない事態の発生」が、ツールを面白くするんですよね。これが何かは、記事の最後に語ります。

 

ときに、タデイを負かせる(かもしれない)唯一のライダー、ヨナス・ヴィンゲゴーはツールに間に合うのでしょうか? オバさんの言う「間に合う」とは、彼がマイヨジョーヌ保持者としてふさわしい走りができる状態に戻ることです。日本の解説者の中には、完璧に戻らなくても優秀な山岳アシストとして使える…みたいな話をした人がいます。これも、見解のひとつ。ただ、少なくともオバさんにとってヨナス・ヴィンゲゴーは、ツール・ド・フランスの2位や3位に満足するライダーではないし、ましてや、誰かをアシストする走りなど見たくもありません。ツールに勝てるか、勝てないか。この二択だけで、もし後者を確信したのならば、6月下旬からの3週間は夏休みにしてほしいです。そして、去年や一昨年のような、観る者が手に汗にぎるタデイとのガチンコ勝負は、期待しないほうがいいというのがオバさんの妄想です。

今年の1月にスタートした、ツール3連覇達成のための高度で緻密なミッション。これが完璧に遂行され、ヨナスはライバルを打ち負かすのです。事実、去年と一昨年の勝因はまさにこれでした。そのスケジュールが崩壊した今、本人の驚異的な回復があったとしても、現時点のタデイと勝負し、勝つことはかなり難しい…。残念ながら、そう思わざるを得ません。

 

さて、「ビッグ・フォー」と呼ばれるツールの人寄せパンダ…失礼、話題のスターライダーのうち、残りのふたりプリモシュ・ログリッチとレムコ・エヴェネプールの妄想はどうでしょう。ふたりともに、前哨戦のドーフィネに参戦したので、比較しやすかったです、はい。上段に第8ステージスタート前のレムコを掲載し、もう1枚がこれ。

2022年のブエルタで総合優勝したときのレムコです。オバさんの目には「赤レムコ」のほうが絞れて見え、これが、今年のドーフィネ7位の要因と考えます。つまり、「もっと体形を絞らないとね、レムコ」ってことです。推しライダーのひとりなんだけど、その色メガネを通しても、彼がタデイに勝ってマイヨジョーヌを手にするとは、とても考えられないのですよ。あと3週間で、ブエルタ優勝のときほど体形を絞れるでしょうか。本人は「まだ時間はある」と言っているし、そもそも優勝ではなく総合5位以内を目指すらしいので、まぁ、レムコの場合、妄想しても意味ないかななんて思っております。

では、ドーフィネで総合優勝したプリモシュ・ログリッチの、妄想劇場の役どころはいかに? あくまでオバさんの感じ方だけど、ジロでタデイが見せたほどの圧倒さはなかったですね。もちろん、強かったですよ。さすがの走りを披露してくれたし、彼を中心にしたチームの仕上がりの良さも感じました。もし、ヨナスがツール欠場となれば、タデイと真っ向勝負できるライバルとして、もっとも期待できそうなのがログラでしょう。これは、妄想ではなくオバさんの確信です。ただし、このスロベニア人決戦にログラが勝てるかどうか…正直、「ちょっと厳しいかな」ってところです。

 

ヒトもお金もたくさん集まる、サイクルロードレース最大のイベント、ツール・ド・フランス。「今年はこうなるよ」と妄想したところで、実際に何が起きるかはまさに「神のみぞ知る」です。現状でもっとも心配なのが、2021年の第1ステージで発生したような大規模落車。初日にいきなり優勝候補がリタイアなんて…ロードレースを愛する者として「残念」では済みません。ただ、オバさんが妄想した「あり得ない事態」のシナリオは、最終日に用意されております。

第21ステージ、モナコからニースまでの30㎞越えの個人タイムトライアル。もしかしたら、ここで「まさか」が発生するかもしれませんよ。もし、雨なんか降ろうものなら、コートダジュールの道は大混乱、カオス状態になるでしょう。ここに用意されたシナリオが、推しライダーの大逆転優勝!だったら嬉しいんだけど…。総合上位が軒並みコケて、11位以下の「この人、誰?」なライダーにマイヨジョーヌが…なんてことになったらどうしましょう。

そりぁーないよと思われそうでも、今年のツールの最終日はその可能性が満載です。まさに、天の神さまの気分次第。ただし、レースが始まれば、第20ステージまでのタイム差によっては絶対にないと言い切れるでしょう。

 

いずれにせよ、オバさんの妄想劇場はツール第1ステージのスタート時点で閉幕。そこまでしばらく、楽しませていただきます。