まずは、この1枚。ティレーノ・アドリアティコ初日の個人タイムトライアルに登場した、ヴィスマ・リースアバイクの専用ヘルメットで、なんとか言う名前があったけど忘れました。今年のジロのタイムトライアルで使うらしく、今回、試験とお披露目を同時にしたというワケ。

この角度だと、なんかこう…凄いインパクトですねぇ。何の先入観もなく最初にパッと見たとき、オバさんは「ティラノサウルスみたい」と感じました。ただ、実際このヘルメットで走行するヨナス・ヴィンゲゴーの写真では、多少、衝撃度が薄れたような…。そこで今回は、タイムトライアルのヘルメットに関してのド素人思考を、さらっと語ってみましょう。

 

サイクルロードレースという競技において、もっとも空力効果が重要視されるタイムトライアル。空力に関してはF1で散々学んだオバさんですが、そこは、あくまでド素人の興味本位の知識でしかありません。タイムであれ順位であれ、速さを競う種目での空気抵抗は、まさに難題そのもの。解りやすい例えとして、時速300キロ越えのF1カーが受ける空気抵抗は、目の前にあるチーズの壁に突っ込む衝撃度と言われます。チーズの壁って、みなさん想像できますか? サイクルロードレースはそこまで極端じゃなくても、平均時速50キロ、最速区間で70キロを超えるタイムトライアルにおける空力対策を、各チームがどれほど重要視しているかは、今さら語るまでもありません。

前方から迫る空気の壁を、どこまで抵抗なく後方へ流すことができるか。スピード競技のエアロ思考はこの1点に尽きますね。このエアロダイナミクスで厄介なのが、空気が後方へ流れるとき被写体で発生する渦「タービュランス」です。オバさんのド素人思考では、TT姿勢のライダーでもっともタービュランスの発生しやすい部分が、肩の上部から首の周辺…とくに後頭部付近です。上部に掲載したヨナスの走行写真を見ると、ヴィスマのジロ仕様エアロヘルメットは、この課題に挑戦しある程度克服しているように感じられます。実際、ヨナスはそれを実感したようだし(リザルトは22秒遅れ)、何よりバイザーの独特な形状で、視界は体験したことのないほど広く良好だったとか。

 

風洞実験が当たり前の時代。さすがに専用施設を持つチームはまだないようでも、自動車メーカーの実験場を使っているとか、いないとか…。ただF1と違い、サイクルロードレースのエアロダイナミクスはかなり限定されるので、その部分の開発競争が熾烈を極めてきます。典型が今回のヴィスマのヘルメットのような気がするけど、それがキッカケかどうか…UCIが動きました。オバさんの個人的感覚では、こうしたキッカケを待っていた雰囲気ありましたがね。スペシャライズドのオリジナルで、ヘルメットの下に装着していたほっかぶりのような独特のあれ、「ヘッドソックス」と呼ぶそうですが、これが4月から使用禁止になりました。

オバさんの個人的な受け止め方で言わせてもらうと、TTのヘルメットに関してはちょっと行き過ぎ感がありましたよ。たぶんUCIも、今回のヴィスマのヘルメットを見て「こりゃ、規制しないとヤバい」と感じたのだろうなんて、勝手に妄想しております。