オバさんの語るcycle「ミラノ発・ふたつの思い」
ヨーロッパを主戦場にした、2026年シーズンが始まりました。個人的には「やっぱ、本腰はここからでしょ」みたいなのがあり、新しいシーズンのワクワク感で盛り上がりつつあります。ただし、まだスタート直後。4月には大好きなワンデーやモニュメントが目白押しで、本当に楽しみです。正直なところ、オバさんの集中力は短期決戦型。レース観戦だと1週間が限界なんですよ。だからグランツールは長すぎて、毎年、必ず「中切れ」を起こしております。こうした性格の人間が最高に楽しめるレースは、やはりワンデー。4月はツール・ド・フランドルを筆頭に、古参・重鎮ワンデーレースがあり、オバさんのワクワク感はすでに数センチほど舞い上がっています。個人的な盛り上がりの頂点を示すならば、リエージュのモニュメントレースかな。そんなオバさんの久しぶりの投稿は、3月に開催されたふたつのワンデーレースに寄せる思いです。まずは、ミラノ~トリノ。数日後に控えるモニュメントの前哨戦と称されるレースですが、細かいこと言うとスタート地点はミラノ市内ではなく、同じ県の「ロー」という町。ま、ミラノ県内だからミラノ~トリノなんだよってことです。今年のレースでオバさんが痛感したのは、人間の本能的な力量の差です。かつてはピュア・スプリンターが勝ったこともある174㎞のコースでも、近年はクライマーやパンチャー向けに様変わり。ちょっと脱線するけど、「登れるスプリンター」という脚質はオバさんの中にありません。そんなミラノ~トリノ最後の難関が、フィニッシュ手前に待ち構えるサーキットコースのスペルガ峠でした。ここの2度目の登坂で、オバさんをシビれさせてくれたのが、トム・ピドコック。彼が披露した読み取る能力と適切に動く判断力には、ただひたすら感動あるのみですよ。2度目のスペルガ峠の登りで勝負がつく流れは、ここを最初に通過したトップ集団の誰もが解っていたでしょう。そんな集団の様子を、トムさんは常に「監視」していました。そう、ド素人の見た目ではあくまで冷静沈着に…。集団の中ほどに位置し、ライバルたちを見渡す彼の姿は、テレビ画面にも映っていましたね。対照的に見えたのが、モビスターのベルギー人ライダー。ヴィスマとの契約を破って移籍した、あの「彼」です。加速で飛び出しては、追いつかれて止める…そんな動きを繰り返していましたが、フィニッシュまでの距離と自分の脚の残り具をどう認識していたか、個人的には疑問です。一方のトムさん。集団の動きを観察し、脚の状態を正確に把握し、「動くのはここだ!」と判断したフィニッシュ手前600mで勝負。一発で鮮やかに決めて見せました。いやもう…感動しまくりでしたよ。「トムさん、本当にスッゲェ…」。人間には、生きていくために必要な様々な能力が備わっています。そのひとつに、目で確認した風景から、この先どう動けばいいかの最適解を生み出す能力がある、とオバさんは考えます。これは、原始の時代からの重要な能力とも考えるのですが、近年、これが失われつつあると感じるんですよ。細かいことは申しません。ただ、デジタル化された世の中で「データ」という名の数字だけで最適解を求めようした姿を、今年のミラノ~トリノのベルギー人ライダーに見たような気がしました。さて、もうひとつのミラノ発レース、ミラノ~サンレモ。観戦した多くの人と同じく、オバさんもただひたすら、タデイ・ポガチャルのモンスターっぷりと、このレースの魅力を改めて実感した、今年最初のモニュメントレースでした。まったく変わらないコース設定なのに、そこが生み出すドラマは毎年違うなんて…表現する言葉が見つからないほど魅力的で感動的な伝統レースですね。今年はチプレッサ直前のクラッシュが、新たなドラマを最高に盛り上げてくれました。あの瞬間、タデイの脳裏に浮かんだのは、勝利を目指し練習を重ねた日々。「終わった」と思ったそうですが、これでゾーンに入るのが彼の凄さ。チプレッサの頂上付近でトップ集団の一番前に出て、あとはフィニッシュまでモンスターオーラ全開です。それでも、ハンドル投げ勝負でホイル半分の差、真後ろに集団が迫るという、文字通りギリギリの勝利でした。ほかのレースでは、長距離独走が定番化しているタデイにして、やっと…そう、やっと手にした四つ目のモニュメント勝利。近年、二連覇は皆無のミラノ~サンレモだけに、「もう、いいよ」感をさりげなく発散しておりました。モンスター・タデイの次なる「獲物」は、モニュメント最後のターゲット、パリ~ルーベ。見た目にも分かるほど体重を増やし、コースを入念に走り込み準備万端です。4月12日、楽しみですね!