第33話 龍の勾玉

 

 コウスケは図書館を出た。図書館からは離れた所であるが、山の方へコウスケは来た。空は明るい。背景は森であり、その中に鳥居がある。鳥居をくぐり中に入ると、災いを避けるためのお祈りが行われている。そこには数人の人々が集まっている。神様の姿は見えない。広い空間はある。コウスケが持っている勾玉とはデザインが異なるが、少し巨大な勾玉が置かれている。人々はそれに向かってお祈りの文を唱えている。木が焚かれている。その火と煙は巨大な龍の形をしている。空に赤と白の1匹の龍が飛んでいるように見える。置かれている少し巨大な勾玉の方へ近づいてみると、その勾玉には龍の姿が映っている。

 

 夕方、ある人が森へ来た。空はある程度暗い。森の、神様を祀っている所への道と違う所を歩く。歩いていると鳥居が遠ざかっていく。彼は勾玉を持っている。人工のものはほとんどない。多くの木が立っている。歩いていると、古びた建物があった。彼はその中へ入った。中はほぼ暗い。通路は長い。歩いていても、ほとんど音はしない。窓からは外の風景が少し見えている。外には木がある。通路の角まで来ると右に曲がった。壁には人の形に見える影がある。その影は揺れている。後ろを見れば窓の外に木がある。窓と壁の間に立つと、壁にある影は消えた。再び移動すると、再び影があらわれた。影は揺れている。しかし、窓の外を見ると木も揺れている。しばらくして木の揺れがおさまると、影の動きもおさまった。何かが聞こえる。

「揺れている。」

 しばらく歩き続けると、向こうには扉が見えて来た。歩くと扉に近づく。扉に近づくと、扉はガタガタと音を立てながら揺れている。そして、扉のすぐ近くに来ると、扉は急に開いた。扉の中には、髪が長く白い服を着た人の姿があった。扉の中に入り、その人の奥に行くと、2本の柱があり、柱には人の手の形をしたものがたくさんついている。見えているのは手の甲である。2本の柱の間を通り、向こうへ進んだ。すると、建物の出口が見えてきた。何かが聞こえる。

「うら・・・めしや・・・」

 出口の方へ向かって歩く。人の姿は見えない。

「かえれ。」

 何かが聞こえる。

 やがて出口にたどり着き、建物の外に出た。そこには2人の人がいた。

「この後ろには、ごはんを食べる店がある。」

 さらに歩く。その2人からは遠ざかる。その2人は建物のすぐ近くにいる。

「そのごはんを食べる店で何を食べたい?」

「かえれ。」

「かえれじゃなくてカレー。」

「行こう、後ろのごはんを食べる店、裏の飯屋へ。」

 建物から少し離れた。建物の近くには2人の姿が見える。

「ゴーストしっぽ。」

「どこに?」

「もうすぐあらわれる。」

 ここへ来た人は2人を放置して1人歩き続ける。どこからか何かが聞こえる。

「お化けヘッド。お化けヘッドと・・・揺れている。」

 しかしまわりに人の姿は見えない。

 木がある。上の葉っぱが集まった所で葉っぱが揺れる音が起き、そこから人の手が落ちてきた。手首の先には紐がついていて、紐は枝にかかった。木で手の甲が宙に浮いている。空を見れば幽霊の形をした巨大な雲がある。雲は動いている。木の向こうへまわった。木にぶら下がっている手の、手の平には、勾玉があった。再び空を見ると、幽霊の形の雲があるが、形が変わり、龍のような形に変わってきている。ここへ来た人は、木にぶら下がっている手の手の平にある勾玉ではなく、自分が持って来た勾玉を自分の手に持ち、上に掲げた。少し雨が降り出した。

 

 彼の後ろにはコウスケが来ていた。

「勾玉?龍?」

 コウスケが地面を見ると、少し濡れている。少しの雨しか降っていないので、地面は基本的に少ししか濡れていない。しかし、部分的に、集中してしっかりと濡れている所がある。今雨が降っている真上を見れば雲がある。巨大な雲である。巨大な雲は山の方へ続いていて、雲の一部しか見えない。

「この雲の形、龍の頭?」

 空を見れば、龍の形をした雲が2つある。片方は、元々幽霊の形をしていた雲である。

 グルグル回っている人たちがいる。彼らは歌を歌っている。中央には人がいる。

 かごめかごめ 籠の中の鳥は ♪

 後ろの正面誰 ♪

 中央の人が振り返ると、髪が長く白い服を着た人がいた。

 

 コウスケより先に来ていた人は、元いた建物に戻った。建物の中を歩く。扉の近くを通っても、今度はガタガタと音を立てながら揺れるという事は起きなかった。その扉を開けた。そこには、髪が長く白い服を着た人の姿があった。触ってみたが動かない。どうやらふつうのマネキンのようである。進むと2本の柱があり、人の手がたくさんついている。それも触ってみたが、動かない。手の模型のようである。引き返し、扉の所に戻った。長い通路を歩く。はじめに入った方へ向かって歩く。やがて屋外へ出た。多くの木が立っている。

 

 コウスケは別の道を通って帰った。コウスケは森を抜け、町へ出て来た。空を見れば、龍の形をした巨大な雲が1つある。見えているのは龍の頭で、体の方は山の方へ続いている。元々幽霊の形だった方の龍の雲は見えない。