『安倍派内での内幕をある程度は明かしつつ、詳細な説明は避ける――』
松本被告の証言に対して、明らかに検察側の対応は『腰が引けて』いました。「安倍派の幹部は直接関与していない」…冒頭陳述で明言したこのシナリオに沿って、検察は粛々と、被告一人に全ての罪を背負わせようと公判を進めました。
時には、松本被告から「幹部の判断があった」と、それが誰かは明かさなくとも、罪を被る不当さを訴えられましたが、全てスルーして判決に持ち込んだのです。
この裁判は、まさに裁判官・検察・弁護士が『三位一体』となって、権力者たちを守った結果になったと言えるのではないでしょうか。
改めて『政権交代』を実現して、この問題を検証する必要性を訴えます。
【自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)の事務局長・松本淳一郎被告に…東京地裁で『禁錮3年・執行猶予5年』の有罪判決が言い渡された。
政治資金パーティーの開催や、経理処理の実務を担った中心人物の法廷に注目が集まったが、裏金づくりの経緯や、幹部議員の関与は解明されないまま幕を閉じた。
「虚偽記載の前提となる、ノルマ超過分の処理については、会長や幹部の判断に従わざるを得なかった」…松本事務局長の権限に「限界があった」と認めつつも、幹部議員の関与については触れなかった。そもそも検察側が…冒頭陳述で、虚偽記載には「派閥の幹部議員は関与していなかった」と明言し、立証の対象から外していた。
「刑事裁判は、法律に書かれた犯罪の構成要件に、該当するかどうかが裁かれる。世間の関心に、応えるための場ではない」(検察幹部)…松本事務局長が、政治資金収支報告書への記載を偽ったとする行為を、審理する裁判であることを強調した。
焦点は…2022年に、一度は中止の方針になったパーティー収入の還流について、安倍氏の死後、幹部らが「再開」した経緯だ。幹部の刑事責任を問えるかどうかに関わるため…自民党関係者の間で「令和4年問題」とも呼ばれた。
最初の被告人質問…松本被告は、22年8月の幹部会議の結果として「方向性としては還付(還流)は(再開)しようと。決定です」と答えた。これは…4人の幹部のうち、塩谷立議員とのみ合致し、下村博文、西村康稔、世耕弘成議員の説明とは食い違った。
さらに…「会議の後に、幹部が各議員に還付継続を連絡し、連絡が終わったという4議員からの回答を待って、還付した」(松本被告)と…自身の独断で、還流を継続することは不可能だった点も訴えた。だが、弁護側、検察側に加えて裁判所も…幹部会議での議論の詳細は、法廷で明らかにならなかった。
幹部会議が開かれたきっかけについても、松本被告は「ある幹部」から…と説明しつつ、その「ある幹部」が誰かには「本人が名乗り出ていないから」として、明らかにしなかった。
2回目の被告人質問…公判検事が「あなたから、虚偽記載を(派閥幹部に)やめた方がいいと、言ったことは?」と聞くと、「今の幹部ではなく、(事務局長として務めた)5年間でいた幹部には、何度か話したことがある」と…虚偽記載の中止を、幹部に進言していたことを初めて明かした。
松本事務局長が、幹部議員らに相談せずに虚偽記載を続けた、と整理していた検察側にとっては、「想定外の発言」(検察幹部)だった。当時の幹部は「会長」を指すとみられるが…松本被告が在籍した5年間で、会長を務めたのは安倍氏と、細田博之前衆院議長のみ。いずれも死去している。誰に進言し、どんな対応があったのか。公判で浮上した新たな謎も、解明されないまま終わった。
松本被告の姿勢について…「他人に責任を押しつけるつもりはないが、自分だけですべて決めたわけじゃないことを分かってほしいという、事務局長なりのギリギリのバランスだったんだろう」(自民党関係者)と分析した…】(本文より)
裏金の経緯、解明せずに幕 安倍派事務局長に有罪判決https://www.asahi.com/articles/DA3S16047778.html