「先ほど(7月3日)判決が言い渡されたばかりであり、現時点では判決の詳細は把握していないが、きょう確定した判決に基づく賠償を速やかに行うとともに、今後、関係省庁で判決内容を精査のうえ、適切に対応を検討していく」(林官房長官)

 戦後の『日本の闇』の一つである、障害者に対する差別を容認し、幸福を奪い続けた『旧優生保護法』について、ついに『違憲』とする判決が出されたことは画期的であり、また至極当然のことだとも言えます。 

今回で違憲判決は13例目ということですが、これまで最高裁はあまり明確に憲法(違憲)判断をしてこなかったように思え、それが政府の横暴を許すような現状を招いたのではないかと、私は考えています。司法の独立と監視機能を確保するためにも、今回の判例はきっかけになって欲しいです。 

「どれほどの悪法でも、一分の理屈がある」とは、歴史を学ぶ者の1人として得た教訓です。旧優生保護法についても、戦後間もない時期のベビーブームにおいて『産児制限』の考え方もあり、また「障害は遺伝する…」という誤った医学知見のもとで、立案・施行されました。当時の人たちの認識を非難することは簡単ですが、現代の価値観を押し付けるような批判は控えることも大事だと思っています。

 その上で過ちを認め、不当な偏見や差別の中で苦労された方たちへの謝罪と補償を速やかに実行していく姿勢が、政府に求められると思うのです。また、私たちも障がいのある方への不当な差別や偏見を無くし、ともに生きられる社会が持続するよう取り組むことが大切になります。

 未だに「旧優生保護法の趣旨は正しかった…」云々と唱え、SNSやメディアを通じて発言している『反動右翼』勢力は多くいるようです。彼らの反対圧力が政府の対応を遅らせることの無いよう、報道メディアも含め私たちも厳しく見守っていくべきしょう。よろしくお願いいたします🙇 


 【『旧優生保護法』のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが、国に賠償を求めた裁判(札幌、仙台、東京、大阪の5つの高裁判決への上告審) で、最高裁判所大法廷は「旧優生保護法は憲法違反だ」とする初めての判断を示し、国に賠償を命じる判決が確定しました。

  戸倉三郎裁判長は旧優生保護法の規定について、「不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められず、手術を強制することは憲法13条(個人の尊重)に違反し、許されない」と指摘したほか、障害のある人などに対する差別的な取り扱いで、『法の下の平等』を定めた憲法14条にも違反するとして「旧優生保護法は憲法違反だ」とする初めての判断を示し…不法行為から20年が過ぎると、賠償を求める権利がなくなるという「除斥期間」については、「適用すべきだという国の主張は、権利の乱用で許されない」として認めませんでした。

  その上で、高裁で勝訴した4件について国に賠償を命じる判決を言い渡し…宮城県の裁判については、訴えを退けた2審判決を取り消し、仙台高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。法律の規定を最高裁が憲法違反と判断するのは、戦後13例目です。

  1996年まで48年間続いた旧優生保護法は、精神障害や知的障害などを理由にした不妊手術を認め、手術を受けた人は、本人が同意したとされるケースも含めると、およそ25,000人…同意なしに強制されたケースは約16,000人…に上るとされています。

  国は、不妊手術から長い時間がたっていることを理由に、賠償責任はないと主張してきましたが、最高裁の判決を受けて、被害者への補償など対応についての議論を迫られることになります。

  これまでの判決では、多くの裁判所が旧優生保護法について『平等権や、個人の尊厳を保障する憲法に違反する』と判断した一方、不法行為を受けて20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなるという「除斥期間」については、判断が分かれました。

  仙台地裁の判決(2019年)では、「旧優生保護法は憲法に違反していた」という判断が示されましたが、賠償については国の主張を認め…「除斥期間」が過ぎているとして、訴えが退けられました。その後、全国の裁判所でも時間の経過を理由に、原告の敗訴が続きました。 

 大阪高裁が(2022年)「除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反する」と指摘して、初めて国に賠償を命じる判決を言い渡すと…東京高裁が「原告が国の施策による被害だと認識するより前に、賠償を求める権利が失われるのは極めて酷だ」として、「除斥期間」の適用を制限し、国に賠償を命じ…これ以降、全国で原告の訴えを認める判決が次々と出されるようになり…札幌高裁と大阪高裁が(2023年)「除斥期間」の適用を制限して、国に賠償を命じました。 

 一方、全国で初めて提訴された裁判は、仙台高裁(2023年)「除斥期間」を理由に再び訴えを退け、原告側が上告しました。 

 原告は高齢で…これまでに、全国で訴えを起こした39人のうち6人が死亡しました。…】(本文より)


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240703/k10014499611000.html