『結婚後に必ず同姓にすることを法律で“世界で唯一定める日本”は、国連の『女子差別撤廃委員会』から3回にわたり勧告を受け続けている…』
ご存知のことでしょうが、『夫婦同氏(同姓)』(国際結婚を除く)が民法で規定されたのは1898年、日清戦争より後のことです。それ以前…と言っても明治維新後の1876年には『夫婦別氏(別姓)』と定められていたのです。
「同氏!?別氏!?👀…同姓・別姓じゃないの?👀」と混乱されるかもしれませんが、これは日本の歴史において『氏・姓・名(苗)字』の成り立ちが関係していることなので、簡単に「法令では氏を使っているが、姓と同じ意味」くらいで理解して良いと思います🙇
大切なことは、『同姓』に固執する『反動右翼』とそれに群がる勢力が、「夫婦同姓は古来より婚姻を家同士の繋がりとする、日本特有の伝統である…」云々と、さもさも日本誕生以来のしきたりのように喧伝していることは“大間違い”だと言うことです。
大河ドラマを観ても、藤原道長の妻は『源雅信女(倫子)』・『源高明女(明子)』ですし、源頼朝の妻は『北条時政女(政子)』、幕末の高杉晋作の妻は『井上某女(方子)』…となっていますからね。
理由等は⬇をご覧ください🙇

長くなるのでザックリ言うと、古くは『氏族』…祖先を共通している(と思われる)『氏名』を持つ血縁集団(中臣氏とか藤原氏、蘇我氏、大伴氏〜源・平・橘等々…)が、時代を経るに従って大人数になり血縁も遠くなったので、より近しい血縁者の共同体≒『家族』に細分化され、(特に武士団が)その家族単位でまとまるようになって「家」が成立して行ったのです。『姓(せい)』とは朝臣や宿禰など『八色の姓(かばね)』と言われるように、地位や出自を表していましたが、やがて『氏名』と同化(姓名)してしまいました。
最初はその『家』の誰かを区別するための1代限りの呼称として、居住地や領地などからとって『名字』を使い始めましたが、やがて財産等と一緒に子孫が代々継承するようになり、藤原氏→近衛・九条など、源氏→足利・新田などのような『苗字』となりました。
私たちのような庶民には、このような『氏・姓』や『名・苗字』は原則認められていませんでしたが、明治時代になって氏名の使用が認められ、さらに徴税や徴兵の必要から戸籍が義務化されたとき、戸籍上「明・苗字」が記載され、現代に繋がっているのです。故に、この『家』=『名字』という意識は、庶民の大部分にとっては明治以降の話ということなり、それ以前は無自覚の『夫婦別姓』だったのです。
また武家や公家、それに一部の上流庶民の『家』=『名字』というのは、それこそ古代からの流れの中で『父方の家』という認識が強く、死後に実家の墓に入る『帰葬』の事例も多いことから『夫婦別氏(姓)』が正道と言えます。
よく、「婚姻の形式が『妻問い婚』から『嫁取り婚』に変わったことで、夫婦同姓が当たり前になった…」と訳知り顔で話す方がいます。もちろん例外事例もありますが、残念ですが『嘘つき』と言わせてもらいます。

『違憲判決の可能性に言及したのは、元最高裁判所判事の桜井龍子さん。…桜井さんは、“夫婦別姓”を認めない民法と戸籍法の規定について、最高裁が2度目の合憲判断を示した2015年の判決で、現行規定に違憲の立場を取った。
 今年3月には、夫婦別姓を認めない現行制度は憲法違反だとして…東京、札幌両地裁に第3次訴訟を提起した訴訟について「(地裁、高裁判決を経て)最高裁判決が出るまでには3~4年かかるとみられる。…希望的観測だが、違憲判決やそれに近い結論が出る可能性がある」との見方を示した。
 その理由として、夫婦のどちらかが改姓しなければならない民法の規定が、“間接差別”(表向きは、性別に関係なく扱われているように見える制度やルールが、実際には性差別的になっている措置。”男女雇用機会均等法”でも禁止されている)とみなされる可能性を挙げた。
 東京地裁では…日本初とされる間接差別を認めた判決(ほぼ全員が男性で構成される総合職のみに、家賃を補助するのは男女差別にあたるとして…大手メーカー系列の一般職の女性が損害賠償などを求めていた)が確定した。
 桜井さんは、今回の確定判決も引き合いにしつつ、「間接差別も差別であるとの理論は、国際的にはもう常識になっている。…民法上では夫か妻のどちらかが改姓するとしているものの、実際には約95%の女性が改姓して…数多くの不利益を女性側が一方的に受けざるを得ないことが、間接差別に該当しうる」との見解を示した。
 また、結婚後に必ず同姓にすることを法律で世界で唯一定める日本は、国連の『女子差別撤廃委員会』から3回にわたり勧告を受け続けているが、その根拠も間接差別に該当するためだと解説した。
 経団連は、「望まぬ改姓を強いられた女性が、(たとえ…通称使用をしても)ビジネス上での不利益を免れられていない」との問題意識から、“選択的夫婦別姓”の早期導入を政府に要望…近く正式に提言を取りまとめ、改めて政府に法改正を迫る考えだ。
 桜井さんは「…別姓を選択できるようになれば、女性の生き方や働き方に深く関わり、個の確立にもつながる。時代的に非常に重要なことだ」と経団連の動きを歓迎した。…』(本文より)


https://mainichi.jp/articles/20240530/k00/00m/040/007000c?s=09