アドラー 心理学入門 」 ロバート・W. ランディン著
 
 この書籍には心理療法についての章がありますが、その方法や手順はアドラーが考えたのではなく、その後継者にあたる研究者たちが確立させていったようで す。入門書なのであまり詳しくはありませんが、心理療法の目的と題した部分を少し引用します。
 
1 共同体感覚の育成。
2 落胆の克服による劣等感の減少。
3 ライフスタイルの変化。それには、目標の見方の変化と大きな間違いを小さな間違いに転換することが含まれるでしょう。車を例にすれば、エンジンの チェーンアップか完全なオーバーホールということです。
4 誤った動機と誤った価値を変えること。
5 同じ共同体にいる他の人達の中で自分が対等であることを分かるように患者を勇気づけること。
6 さらに、集団あるいは社会に貢献する成員になるように援助すること。
 
 表現は異なっていますが、全て共同体感覚育成のことです。
「人生に問題を抱えている人は共同体感覚が欠けており、それを育成することで問題解決を図ることができる」
という単純な図式はわかりやすいです。
 
 補償を得るまでの手順は「アドラーを読む4 」で紹介しました。
 
優越への努力 → 失敗 → 劣等感 → 別な分野での優越への努力 → 成功 → 補償
 
 共同体感覚は適切な補償を得ることで身につくのですが、これまでの人生で散々優越への希求を打ち砕かれ、失敗に対する恐怖心を抱き続けていると、最初の 優越への努力に持って行くのも大変です。
 
 セラピストがどんなに励まし力づけても、現実の場になると勇気を打ち砕く人々や事物がたくさんあります。
「自分には得意なことなどない」
と劣等感に凝り固まっている患者には手順を逆にして、成功体験を積ませて自信を取り戻させる方法が取られてもよいでしょう。誰にも負けないことはなくて も、誰かの役に立つことはできます。寝たきりの人でも、介護者に勇気を与えることができます。
 
 これも私の解釈によるものなので、共同体感覚を空気読み能力と協調性だと解釈する人にとっては、共同体感覚はとても身につきそうにないものです。私もそ れだったらどこから手をつけていいかわかりません。
 この心理療法のページにも、空気読み能力や協調性を身につける方法については書いていないので、やはり共同体感覚とはそういうものではないと考えます。
 
 
 2月28日の記事。共同体感覚は訳がよくない。