アドラー心理学入門 」 ロバート・W. ランディン著
 
 参考図書の第1章は、アドラーの生い立ちと略歴紹介です。特筆すべきは、アドラーは最初眼科医であったこと、そして目の不自由な人は耳がよくなるという現象に着目したことです。
 
 目の不自由な人の聴力が発達する現象はよく知られていますが、それを努力の結果である、と解釈している人は少ないでしょう。
 発達障害界ではサバン症候群と呼ばれますが、知的障害者がある特定分野にのみ天才的能力を発揮することがあります。知的障害者全員に発生する訳ではなく、努力の結果でもありません。
 
 努力の成果としてではなく、器質的に、人には劣った部分があると他の部分が発達してそれを補おうとする現象があります。そこから
「人は劣等感があると他の優越する部分で努力しそれを補おうとする」
方につなげるのは若干無理がある気がしないでもありませんが、この入門書だけで理解しようとするのも無理があるので、思い込みでカバーすることにします。
 
 私が引っかかったのは、上の表現だと意志や努力の成果であるように見えるからです。優秀な人達の業績をコンプレックスの裏返しと見るのも抵抗があります。
 本書ではヘレン・ケラーの例も上がっていますが、盲聾の方が当然のようにヘレン・ケラー並を要求されるという話には目を背けたくなるものがあります。現代日本であれば乙武さんが真っ先に上がることでしょう。
 
 現時点では、あくまで器質的なものである、個人差がある、という解釈をしておきます。
「人には劣等部分を補うために、他の部分がより発達する性質がある」
補償と呼ばれる現象です。
 
参考記事 : アドラーを読む
 
 
 1月16日の記事。目の不自由な人の聴力が発達する現象は、ベルサイユのばらで知りました。視力を失っていくのを隠すアンドレがオスカルに、「お前ずいぶん耳がよくなったな」と言われるところ、意味がわからなくて親に聞いたのでした。