他人が提案したことの是非を検討し、取捨選択するのは、実は大変高い能力を必要とします。
 ビジネスシーンだと、そのプロジェクトに対する個々の立場やどこまで絡んでいるかが(そうでない場合よりは)見えやすいし、資料をよく読まずに的外れな 提案をしたらその的外れな提案をした人が馬鹿っぽい扱いですが、そうでない場面では逆で、提案された側が上手に対処しないと、何て意地の悪い人だろうと思 われてしまいます。
 
 ブログの初期、発達障害者向けの色つきレンズ眼鏡を会社で注意された話を書いたら
「説明して理解してもらえばいい」
という助言がたくさん来て私は混乱しまくりました。
 私の職場には同僚がいなくて、会議等の時に利用する人が来るだけであり、よく来る人というのはいるけれど毎日必ず来る人はいない、という環境でした。その人たちにいちいち色眼鏡のことを説明するのか、会議の前にか、それとも会場案内に
「ここの受付は色眼鏡をかけていますがご理解を」
とでも書けというのか、普通そんなこと会社に要求できるのか???
 
 半年くらい経ってよく考えてやっと、助言した人は私がどんな環境で働いているのかなど全く考えていないのだ、色眼鏡のことを周囲に説明すればいいのにしないのは何か理由があるんだろうか、という疑問すら持たないのだ、と気づきました。
 そんなこと言ってくれないとわからない、と逆ギレられそうですが、職場環境はそれまでの記事で何度も書いてきましたし、その前にそれが問題の焦点であることに私が気づきませんでした。そこまで周辺情報を整理できていれば自己解決できます。
 
 まともに受け取って、来る人来る人に色眼鏡について聞かれもしないのに説明しまくっていたら大変非常識な人になるところでした。上の助言した人に、あなたの言う通りにしたらひどい目にあったと抗議したら私がおかしい人扱いでしょう。
 こう書くと助言して下さる方に何とひどいことをですが、この世界では、助言される側が責任持って取捨選択し、助言する側の精神的フォローまでするというルールになっています。それも社会性です。
 
 他人の助言を消化するには、助言者が何をどう勘違いしているかまで見抜き、考慮検討しなければなりません。さらに、私の知らない定型発達者特有のルールを私が知っているものとしてすっとばしている可能性もありますから、すごい複雑な情報組織化・系統化スキルが必要です。
 
 自閉症の特徴の中に
「他人の立場に立って考えられない」
というのがありますが、それ自体は定型発達者も同じなのです。私は骨折したことがないので骨折した人の立場になるために、自分が骨折したところを脳内で描き、その痛みを想像します、一生懸命想像していると本当に痛くなってきます。
「痛い痛い、今自分の骨が折れたところ想像しちゃった、ギャー」
と骨折した人の前で叫んで場を凍らせるのですが。
 
 相手の立場を想像できるかできないかの問題ではなく発話テクニックの問題ですな。むしろ相手の立場に立つという言葉を文字通りに受け取ってそうしようとすると余計ややこしいことになります。その場にふさわしい発話ができればそれでいいのです。
 
 
 2月14日の記事。禁断のカテゴリーシリーズのスピンオフ。本にはASの人には具体的に指示しましょうと書いてあるけど、具体的の意味も違っていそうです。