ミユキがバイト先のコンビニに出勤すると店長に
「当分平日は午後10時までにしてくれる」
と言われた。
「そんな、困ります」
週5日働いているので、勤務時間が1時間減れば月2万近い減額だ。勤労学生には厳しい。それに、毎日来る憧れのあの人は10時過ぎてから来ることもある。
「近所に変質者が出るみたいでさ、今日も警察が来て、コンビニに現われるかも知れないので注意してってさ。若い女性をこんな遅くまで働かせているって警察にばれたらちょっと困るしね。ミユキちゃんも帰り道気をつけた方がいいよ」
店長が警察にもらったというビラを受け取った。
犯人の特徴。長いトレンチコート、スニーカー、ハイソックス、そしてコートの下は全裸。絵に描いたような変質者だ。絵に描いてあるのだが。顔はわからないらしいが、トレンチコートにスニーカーなんて見ればすぐわかるだろう。
その日もいつものあの人がやってきた。
「寒くなったね」
最近やっと、顔を覚えてくれて、あいさつもしてくれるようになった。
「今日は早いんですね」
「うん、直帰だったから」
トレンチコートの襟を立てて、その下に赤いマフラーがのぞく。そして、足元にはスニーカー。商品を棚に並べていた店長がそっと奥の控室に向う。通報する気だ。まずい。
ミユキは店内の暖房の設定温度をマックスまで上げた。
「何か暑くない」
トレンチコートがお弁当を持ってきた。
「はっ、エアコンが故障していまして、コートをお脱ぎになってお待ちください」
これでは自分が怪しい人ではないか。お脱ぎになって、などと。
「いいよ、1分くらいなら」
そこへ店長が戻ってきた。
「お待たせしました」
ミユキは温めの済んだ弁当を差し出した。トレンチコートは帰って行った。
店長がカウンターに入りながら言った。
「ミユキちゃん、暑くない」
「今下げます」
設定温度を戻した。とっさにこんな間抜けな作戦しか思いつかない自分が情けない。
「あの変質者、さっき捕まったんだって。被害者の女の人に蹴り倒されて」
店長はカウンターの下に貼ってあったビラを破いた。
関連 : 昔履いたオニツカ様「正義の印,赤いマフラー 」コメント欄 妄想シリーズ
1月12日の記事。もう2月です。プロ野球はキャンプインです。妄想シリーズはなるべく1話完結の方がよいです。どこどこ社が大規模リストラとか、いついつまでに何十万失業といったニュースが目立って寒いです。
「当分平日は午後10時までにしてくれる」
と言われた。
「そんな、困ります」
週5日働いているので、勤務時間が1時間減れば月2万近い減額だ。勤労学生には厳しい。それに、毎日来る憧れのあの人は10時過ぎてから来ることもある。
「近所に変質者が出るみたいでさ、今日も警察が来て、コンビニに現われるかも知れないので注意してってさ。若い女性をこんな遅くまで働かせているって警察にばれたらちょっと困るしね。ミユキちゃんも帰り道気をつけた方がいいよ」
店長が警察にもらったというビラを受け取った。
犯人の特徴。長いトレンチコート、スニーカー、ハイソックス、そしてコートの下は全裸。絵に描いたような変質者だ。絵に描いてあるのだが。顔はわからないらしいが、トレンチコートにスニーカーなんて見ればすぐわかるだろう。
その日もいつものあの人がやってきた。
「寒くなったね」
最近やっと、顔を覚えてくれて、あいさつもしてくれるようになった。
「今日は早いんですね」
「うん、直帰だったから」
トレンチコートの襟を立てて、その下に赤いマフラーがのぞく。そして、足元にはスニーカー。商品を棚に並べていた店長がそっと奥の控室に向う。通報する気だ。まずい。
ミユキは店内の暖房の設定温度をマックスまで上げた。
「何か暑くない」
トレンチコートがお弁当を持ってきた。
「はっ、エアコンが故障していまして、コートをお脱ぎになってお待ちください」
これでは自分が怪しい人ではないか。お脱ぎになって、などと。
「いいよ、1分くらいなら」
そこへ店長が戻ってきた。
「お待たせしました」
ミユキは温めの済んだ弁当を差し出した。トレンチコートは帰って行った。
店長がカウンターに入りながら言った。
「ミユキちゃん、暑くない」
「今下げます」
設定温度を戻した。とっさにこんな間抜けな作戦しか思いつかない自分が情けない。
「あの変質者、さっき捕まったんだって。被害者の女の人に蹴り倒されて」
店長はカウンターの下に貼ってあったビラを破いた。
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1月12日の記事。もう2月です。プロ野球はキャンプインです。妄想シリーズはなるべく1話完結の方がよいです。どこどこ社が大規模リストラとか、いついつまでに何十万失業といったニュースが目立って寒いです。