こんな夜更けにバナナかよ
渡辺一史著 北海道新聞社 \1,890
タイトルが面白かったので読んでしまいました。ノンフィクションです。
24時間介護を必要とする筋ジストロフィーの鹿野さんは1人暮らし、介護は昼夜3交替でボランティアが行い、そのスケジュール調整が主な仕事です。学生なら、テストだ帰省だ風邪引いたとすぐ休むから、代わりの手配は大変です。
ボランティアも、
「かわいそうな障害者の面倒を見てあげる」
な人から、妙に謙虚でおっかなびっくりの人まで様々です。
24時間介護を必要とする筋ジストロフィーの鹿野さんは1人暮らし、介護は昼夜3交替でボランティアが行い、そのスケジュール調整が主な仕事です。学生なら、テストだ帰省だ風邪引いたとすぐ休むから、代わりの手配は大変です。
ボランティアも、
「かわいそうな障害者の面倒を見てあげる」
な人から、妙に謙虚でおっかなびっくりの人まで様々です。
鹿野さんは結構わがままで、どなられて2度と来なくなった人もいます。わがままでなければ24時間介護をボランティアで乗り切ろうなんて思わないでしょう。ご両親も健在ですのに。
夜中にバナナが食べたいから食べるというのも、健常者が自分でできるならわがままでも何でもありません。真冬にスイカだったらかなりわがままですが。
夜中にバナナが食べたいから食べるというのも、健常者が自分でできるならわがままでも何でもありません。真冬にスイカだったらかなりわがままですが。
おそらくあまりにも暗い内容は省いていると思われますが、
「障害者は謙虚で前向きで健気で、健常者はそれを助けて感謝される」
というドラマみたいなことを考えている人がボランティアに来たらショック受けそうです。反発した人も多かっただろうと推測されます。
「障害者は謙虚で前向きで健気で、健常者はそれを助けて感謝される」
というドラマみたいなことを考えている人がボランティアに来たらショック受けそうです。反発した人も多かっただろうと推測されます。
筋ジストロフィーは現代医学で治癒する見込みがなく、筋肉は弱っていく一方です。
「今日生きる」「明日も生きる」
毎日がその積み重ねという凄まじさに、前向きだの後ろ向きだのいう言葉が何とつまらなく映ることでしょう。
「できないんだからしょうがない、できる人にやってもらう」
うわ、障害者が自分で言うと説教されそう。
「今日生きる」「明日も生きる」
毎日がその積み重ねという凄まじさに、前向きだの後ろ向きだのいう言葉が何とつまらなく映ることでしょう。
「できないんだからしょうがない、できる人にやってもらう」
うわ、障害者が自分で言うと説教されそう。
卒業シーズン、学生ボランティアたちは入れ替わります。してあげた、だけではない何かを得て、彼らは旅立っていきます。それは、ある時には反発かも知れなくても。
鹿野さんはこの本の完成を待たずに42歳で亡くなりますが、まれに見るタフな精神力に、生きるとはすごい、生きているだけですごい、と思わせてくれます。対等であるとはどういうことかも。
鹿野さんはこの本の完成を待たずに42歳で亡くなりますが、まれに見るタフな精神力に、生きるとはすごい、生きているだけですごい、と思わせてくれます。対等であるとはどういうことかも。
6月30日の記事。一方的に世話を受ける関係である場合、世話を受ける側にも相手に与えることができる何かがないと、対等の関係にはなれないでしょう。この本に対しては、
「スーパーマンのような障害者でないと自立できないのか」
という評価もあります。乙武さんやヘレン・ケラーもそういうタイプでしょう。それを標準形にされ、
「あなたもこれくらいがんばってみたら。やってみなければわからないよ」
と説教族に利用されてしまうのは悲劇。