ヤマザキが帰った後、マイコは週刊誌をめくった。ヤマザキが読めと指示した記事には、条例の改定で風俗産業の摘発が厳しくなったことが、経営者の談話と共に紹介されていた。
(あのホストクラブ、この一斉摘発の前に閉店したのか。それも爆破事件で保険金せしめて)
やはり内部犯行という気はする。
 何かが揺れるような音がした。マイコは窓のカーテンを開けた。庭の1箇所から煙が上がっている。個室のドアを開いて廊下をのぞくと、同じように他の病室からも何人か顔をのぞかせた。
 
 マイコはサンダルに履き替え、非常口から外に出て非常階段を下りた。庭に何人か集まり始めている。
「マイコ」
非常階段の下に、イズミがうずくまっていた。
「大変なことになったのよ」
え、大変なことって、あんたがしたんじゃないの。
「ここでは説明できない、ちょっと来てくれる」
は、どういうこと、まずくないか。マイコはイズミと距離を取るように、後ろに下がった。庭から姿が見える位置まで下がったせいか、ヤマザキとハヤミがそれを見つけて走ってきた。
 
 ヤマザキはマイコに
「これがイガラシイズミか」
と確認しました。
「はい」
マイコはうなずいた。親友を売る自分て最低だと、どこかで他人ごとのように思いながら。
 ヤマザキは警察手帳(らしきもの)を出した。
「イガラシイズミこと、本名ヤマザキヨウコ、連続爆破事件の重要参考人としてご同行願いたい」
「は、ヤマザキって」
マイコはイズミの顔を見た。
「兄さん、刑事になったの」
何、にーさんて。
「ヨウコちゃん、トオルは君が殺人容疑をかけられた時、デザイナーをやめて世間から身を隠したんだ。当時未成年とはいえ、マスコミにかぎつけられてトオルの名前が出れば、君が誰か特定されるからね」
今度はハヤミが言った。
(ちょっと待って、ちょっと待って)
マイコは脳内で状況を整理した。
 
 ヤマザキは元デザイナーだ。
 イズミの本名はヤマザキヨウコだ。
 イズミは昔殺人容疑をかけられた。
 イズミはヤマザキの妹だ。
 
(ということは、ハヤミさんとイズミも異母兄妹だってこと)
マイコは自分の妄想を混入させた。
 
 
 2月11日の記事。後づけ設定の割りに無理のない展開でしょう。これもこれ以来書いていません。続き書かないとです。